アフターコロナ:マーケティングは、どう変わるのか? #01
新型コロナが、日本人の「対面最強」の呪いを解体する
目的消費のはじまりは、「対面最強」の呪いを解体する
コロナ渦中になるまでは、店舗で情報や手続きが提供されるいわゆる「窓口系」の対面サービスが、ビデオ通話などの非対面提供へと置き換わることは、それほど進んでいなかった印象だ。
電話やメール、WEBでできることがそもそも限られているし、ビデオ通話はなんとなくハードルが高い。やはり対面が最強なのだと信じられている。
対面の強さは、非言語コミュニケーションの量が多い点、対面を前提とする社会だから単に皆スキルが高い点は言わずもがな。あとは、「大事な用事は電話やメールで済ますな」という武士道的な精神に日本企業の風土が支配されているからかもしれない。「顔合わせ」という言葉があるくらい、直に会うことにこだわり、それ自体が目的化している場合も多い。
一生に何度とない就職・結婚・保険加入・住宅購入・自動車購入など、ライフイベント系のサービスは特に、コロナ渦中でも対面を希望する消費者は多いだろう。当社で運営する、リアル店舗の住み替え相談カウンターの「LIFULL HOME'S 住まいの窓口」でも同様の傾向だ。
しかし、単に「食わず嫌い」という可能性は大いにある。実際「LIFULL HOME'S 住まいの窓口」では、リアル店舗での対面サービスに加えて、早くから非対面でのサービス提供を実施してきた。
その中で、たまたま非対面とは知らずにオンライン店舗(店内のディスプレイからスタッフに接続して住宅購入の相談が可能)を利用したお客さまには、対面と変わらない高い評価をいただいている。
オンライン店舗の事例は「対面の方が上」という世間一般の認識を説明できない。
もちろん業種やシーンによってさまざまだが、“絶対失敗したくないはず”の住宅購入でさえ、必ずしも最初から最後まで対面である必要はないと私は考えている。
つまり対面・非対面は「場合によって使い分けろ」というメッセージになるのだが、そういった、より目的に対してスマートな解決手段を選択できる顧客体験を良しとする消費者が増えるのではないか。
コロナによって非対面の経験値を積んだ消費者は、非対面に対するバイアスが外れ、同時に「対面じゃなきゃいけない」といった思い込みも無くなってくる。