アフターコロナ:マーケティングは、どう変わるのか? #特別編
マスクの開店時販売を中止した大手ドラッグストア「サツドラ」英断の背景
マスクの開店時販売で起きる「3つのデメリット」
郡司 ドラッグストアの開店時から行列ができることで、発生するデメリットが3つあると思っています。ひとつ目は、従業員へのプレッシャー。出勤したときに何十人も並んでいるので、店舗に入るときに相当なストレスを感じると思います。
富山 それは、あると思います。何しろ店舗の駐車場が満杯ですから。
郡司 私は、その精神的負担が重いため、会社としてケアするべき対象だと思っています。そして2つ目は、作業プロセス。朝は何事もないときでさえ開店作業もあり、品出しもありと、一番忙しい時間帯。倉庫は納品された商品で詰まっていて、それを出さないと身動きも取れない状況なことも多いですよね。
それなのに、お客さまから「倉庫にあるんじゃないの?」と問い合わせをもらい、探しに行くみたいなことが多くの店で起きていると思います。そうして、朝の品出しが遅れると、昨日売れた商品の補充も間に合いません。その機会損失も大きいんじゃないですか。
富山 はい、朝はすごく忙しいので、実際に従業員からも「納品されたマスクをすぐに見つけられないので、マスクだけは分かりやすく別のオリコンに入れてほしい」という声が出ていました。でも、それでは根本的な解決ではないなと思っていたんです。
郡司 実際にドラッグストアで働いている方に話を聞くと、普段よりも朝15分ぐらい早く出勤して、マスクを探す作業から始めているみたいな状況でした。そして3つ目はおまけかもしれませんが、早朝から行列ができることで近隣住民からクレームが来るということです。
富山 おまけというよりも、それは、かなり大きな問題でした。渋滞が起きて店舗によっては路上駐車した車が並んでいることもありましたから。その渋滞をなくしたいというのも、開店時の販売を止めることを決断した理由です。
――現在は、どの時間帯にマスクを販売しているのでしょうか?
富山 マスクの販売方法については、本部でコントロールしています。どうしても1人や2人では対応できず、店員が多い時間帯でないと売り場が混乱してしまいます。そうした状況を見越した上で、夕方の仕事帰りのお客さま、昼間に来られるお客さまなど、なるべくマスクが満べんなく行き渡るようにしています。