アフターコロナ:マーケティングは、どう変わるのか? #特別編
マスクの開店時販売を中止した大手ドラッグストア「サツドラ」英断の背景
Twitter、YouTube。サツドラ流 情報発信のポイント
郡司 私が注目しているのは、サツドラさんからの情報発信です。良かったポイントが2つあると思っていて、ひとつは一方通行ではあるけれど、ホームページや店舗の張り紙で告知して、しっかりと自分たちの考えを伝えたこと。
もうひとつは、双方向のやりとりができるTwitterなどSNS上でも発信していたこと。いまの時代は、自社アプリも含めて店舗側から主体的に発信できるチャネルが増えていますよね。そうした場を積極的に使っているのは、流石だなと思いました。
富山 おっしゃる通りで今回、情報発信について私もすごく勉強になったんです。マスクの販売は、お客さまが一番知りたいセンシティブな情報なだけに、企業側も発信することが怖くなるんです。特にSNSを使っていない企業ほど、“触らぬ神に祟りなし”という案件になると思うんですよ。
でも、今回はサツドラの状況をTwitter上で正直に発信したら、それをお客さまにポジティブに感じてもらえることがわかった。後からYouTubeに動画をアップしたのも、お客さんの声をSNSで拾っていくうちに、これはきちんと私から発信したほうがいいと判断したからです。
動画については、私なりに撮ったあとに編集して、広報部門から外部の方にヒアリングしてもらって「どう見えるか」を確認してから流しました。
あとは、発信することで責任も伴うことも良かったと思います。こちら側から発信した以上、社内に真摯に取り組まなければいけないという空気が生まれるんですよね。
郡司 私も動画を見て、特に中盤のシーンに富山さんの「従業員を守りたい」という熱い思いを感じました。ここは、編集を加えたんじゃないでしょうか。
富山 そうですね。私としては、これは伝えたい内容でしたが、お客さまからはお店のエゴのように捉えられかねないので、広報にチェックしてもらったポイントでした。あとは、いつ動画を紹介するのかというタイミングもすごく重要だと思いました。
――そこは、どうされたのですか?
富山 Twitterにあげるタイミングを1日おいて、YouTubeの公式チャンネルでの反応を見てからにしたんです。遅すぎても駄目なので、適切なタイミングだったと思います。