アフターコロナ:マーケティングは、どう変わるのか? #02

コロナと共にある時代、マーケティングが考慮すべき5つの視点【藤原義昭】

前回の記事:
新型コロナが、日本人の「対面最強」の呪いを解体する
 

Winter is coming . 企業はどうする?


 「アフターコロナ」について寄稿のご依頼をいただき、正直に言うと、お受けしようか迷いましたが、現在、私自身が個人的に考えていることが少しでも皆さまのお役に立つならと思い、引き受けることにしました。なお、本稿は私が所属するコメ兵の施策とは、全く関係がないことをお知りおきください。

 “Winter is coming” 
(米国HBOのテレビドラマシリーズ『ゲーム・オブ・スローンズ』の有名なセリフ)

 冬の時代が、本当にやってきました。しかも、思いもよらない形で。状況は刻一刻と変わる中で、特に小売業は、どのように対応する必要があるのでしょうか。「正解はない」というのが、結論になると思いますが、今は考えうる全ての対策を出して、優先順位を設定していく局面だと考えています。
 
写真123RF

 まず、その前に同じような状況に置かれた「リーマンショックとの違い」について考えてみると、現時点では小売業のように、窮地に立たされている業態があるものの、活況の企業も存在するというのが大きな違いです。

 窮地に立たされたのは、企業努力が足りなかったと言えば、それまでですが、今回のコロナショックはそうとも言い切れず、一部の企業を除いて外部環境の影響の方が大きいと言っても間違いないでしょう。

 ただし、経済の停滞がさらに長引けば、消費が先細りするので、現在はまだ経営悪化していない企業も当然悪くなっていきますし、在宅ワークで対応できている企業も客先の売上が細っていくので、厳しい状況になります。

 現在、リアル店舗中心でビジネスを行っていた企業が直面しインパクトとして大きいのは、緊急事態宣言が発令され、東京都を中心に出された外出自粛に加えて商業施設・店舗などの使用制限の要請です。これは感染拡大を防ぐための措置であり、当社も含めて多くの企業が応えている一方、その経済的ダメージは計り知れないのは周知の通りです。

 「おうち時間」を少しでも良くしようと、スイーツや高級料理をECで取り寄せたり、Nintendo Switchがフリマアプリで、定価以上で取引されたりしています。まさに「巣ごもり消費」が盛んになっているようです。とは言え、日本のEC化率は、コロナショック以前は7%程度で、フリマアプリ市場は6000億円程度。これが、すぐにひっくり返るのは難しいでしょう。
 
写真123RF

 ただしコロナショックの前から、意識的にECなどデジタル比率を高めていた企業は、多少なりとも恩恵を受けていると思われます。リアル店舗の固定費の多くは家賃と人件費であり、家賃は店舗が稼働しようがしなかろうが支払う必要があります(商業施設の一部では、減免をしている企業も出てきています)。また、そこで働く従業員も同じく、会社が店頭で接客していた販売員に「今日から、ライブコマースをやってください」と言っても、そうすぐには対応できないのが現実です。

 企業は経済活動を行わなければ、生き残ることができません。ここからは、私が特に大切だと思っている5つの視点についてお話しします。そして、この状況が簡単に終息すると楽観視することも難しい状況であると思い、アフターコロナではなく、「Withコロナ」として対応していくことが非常に重要です。

 主に企業のマーケティング活動において、withコロナへ向けて取り組むべきことは次の5つです。
 
  1. 安全への配慮
  2. 顧客との関係強化
  3. 資産・コスト配分の最適化
  4. DXの推進
  5. 柔軟なサプライチェーンへの変化

 それぞれ解説していきましょう。

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