RYUKYU note #01

「元祖 紅いもタルト」が、沖縄の定番お土産になるまでの知られざるストーリー

 

人材育成には、コミュニケーションの積み重ねが大事


――今後さらに会社を成長させていくにあたって、一番生かせる強みは何だと思いますか。

専務 今までの強みは、沖縄らしさでした。沖縄の特産品を素材に使ったり、建物や制服にも沖縄らしさを取り入れたり、紅いもの紫で統一したりして、来た人に喜んでもらうという部分だったと思います。

では、これからの強みは何か。それは、これまで獲得してきた認知度を利用して、新しい展開をしていくことだと考えています。これからも沖縄の歴史や文化にはこだわり続け、社員の笑顔と共に恐竜PARKのようにワクワクするような店舗をつくっていきたいですね。

会長もよく言うのですが、私たちは10年計画で今の状態を築き上げてきたわけじゃない。そのときにやるべきことをやってきた結果、今があると考えています。会長は非常にパワフルでカリスマ性があり、どんどん前に行くので、私たちは後ろから人材育成などの地盤固めに力を入れることができています。

今は販売会社の御菓子御殿と製造会社の御菓子御殿クリエーションの2つに会社を分けてホールディングスをつくり、全体で485名の社員を抱えています。今後も、例えば料飲部門などを担う会社を増やし、社長を増やしていきたいという構想をしていますね。

社長 今は若い人たちがどんどん伸びてきているんですよ。30代の店長を集めて勉強会を開き、価値観を揃えたりもしていますし、会社のお金の流れも全部教えているから、みんなだんだん分かってきている。今までは会長の指示待ちだったけれど、毎週会議をするなかでアイデアが出てくるようにもなりました。

専務 これからは下を育てていかなければならない。特にリーダーの育成に力を入れていて、ブレーンとなる人たちを増やすことで、地盤固めをしていきたいと考えているんです。

勉強会は2012年から毎月行っていて、そのあとには決まって飲み会を開いています。でも、最初は本当に大変でした。

「この会社は何もしてくれない」とか、「有給が取れない」とか、文句しか聞こえなかった。その上、それを「どうするんですか」と課題として投げてくるばかりで。でもそれを聞いて聞いて、社員がどう思っているかを理解したときに、自分たちがやってあげるべきこと、本人たちにもできることがだんだん分かってきました。

今は勉強会を始めて8年になりますが、コミュニケーションを相当積み重ねてきたおかげで、社員が私たちに提案することもできるようになっています。

社長 今は飲み会でただお酒を飲むだけではなく、テーマを決めて事前に考えてくるようにしてもらっているんですよ。

専務 コミュニケーションを取ることで、それくらい変わるんです。会話をして何を思っているのか聞くだけでも、本人たちも整理ができるし、自分たちもやれることが分かる。だから、コミュニケーションが一番大事だと考えて、欠かさないようにしていますね。

――カリスマ性のある経営者に付いていく、あるいは社員の想いを受け止めるなかで、心が折れそうになったこともあるのではと思います。そうしたときに、どのようにモチベーションを保ってこられたのですか。

社長 僕は気質ですね。大事な問題にはしっかり取り組みますが、細かなことはそんなに気にしない質なんです。

専務 私は悩む方なので、もう辞めたいと思ったこともたくさんありました。でも、旦那が二代目を継ぐとはっきり言ったとき、時間をかけて社員と向き合っていくうちに、それなら自分も腹をくくらなければいけないと思いました。

それ以来、私がするべきことは社員を守り幸せにすることだと思って、心は折れるけれど、折れても元に戻すような努力をしています。だから、モチベーションは社員を幸せにするという信念ですね。今辞めてしまったら逃げるだけなので、その信念をぶらさずに突き通すことで、モチベーションを保っています。



――コロナの影響もあり、最近は通販に力を入れて売上を伸ばしたいという会社も多いですが、いかがでしょうか。

専務 私は通販にも力を入れていきたいと考えています。そのためのホームページも1999年に立ち上げているんですよ。でも、沖縄から発送すると海を越えなければならないので、送料が高い。その上、賞味期限が短いので、どんなに力を入れても伸びないんですよね…。



社長 通販は伸ばしていきたいと思ってはいるんですけど、健康食品やサプリならいざ知らず、うちの場合は賞味期限が短いので難しくて。添加物を入れれば長く持たせることができるけれど、それは入れたくない。

昔は賞味期限がネックになることもありましたが、今は冷凍で売ることができるので、賞味期限2~3日の商品でもお土産として普通に買ってもらえていますから。

専務 人体に無害な脱酸素剤を入れたり、窒素を入れたりということを勉強しながら試して、少しずつ賞味期限を延ばすことにもチャレンジしてきました。通販の体制も、冷凍設備のある流通センターに移動したりして整えてはいるんですよ。

沖縄の素材を使った商品の通販ということで絶対に伸びると思っているので、今後、通販の充実にはチャレンジしていきますので、楽しみにしていてください。
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