アフターコロナ:マーケティングは、どう変わるのか? #05
自由な働き方が加速。企業も個人も「羅針盤」を持つことが大事になる【加来 幸樹】
不確実な時代を生き抜くためのヒントを探る
こんにちは。「自分の言葉で語るとき、人はいい声で話す。」という理念を掲げて、サインコサインを経営している加来です。
私はこれまでにもアジェンダノートで「自由の毒味」という連載を通じて、新しい働き方やクリエイターのキャリア形成、ビジネスパートナーシップのあり方などについての記事も書いてきましたが、今まさに誰もが毒味する余裕もなく、変化するしかない状況になっています。
あらためての説明は不要だと思いますが、新型コロナウイルスに端を発するさまざまな影響は、人類にとって類を見ないレベルの大変革を巻き起こしています。
これから先がどんな未来になるのかは誰にも予測不可能ではありますが、そんな不確実な時代を生き抜くためにきっと必要になることを想像することは、これからのマーケティングを考えるヒントにもなるかもしれません。
この大きな「変化」は一過性のものではない
まず今の我われが直面しているのは、経験したこともない大きな「変化」です。物理的なコミュニケーションにおける前提条件が大きく変わり、働き方や生き方、また様々な文化のあり方・価値観の変化への適応を余儀なくされています。
本当に一人ひとりが大変な思いをしながら適応している真っ最中だと思いますが、今回の変化は決して一過性のものではなく、ある種の「進化・革命」のタイミングであると捉えることもできます。
制限や自粛といったキーワードがどうしても目立ってしまいがちではありますが、テレワークやウェビナーなど時間や場所を超えた働き方のアップデート、それらにも関連した暮らし方や家族との時間の使い方の再定義など、さまざまなイノベーションも同時に起こっていることも事実です。
徐々に行動などの制限が解除されていったとしても、全てがそのまま元通りになるわけではないということは、誰の目にも明らかではないでしょうか。
この後に求められるのは、一人ひとりの「選択」
この「進化・革命」によって、良くも悪くも私たちは「自由」へと近づくことになるとともに、その恩恵と残酷さの両面も浮き彫りになっていくと、私は感じています。
前述したようなアップデートを通じて生まれた時間や縁を活かして新たなチャレンジをする人も出てくると思いますし、より自分らしい幸せのかたちを追求しながら仕事と家庭のバランスを取る人もたしかに増えると思います。
しかし一方で、正解だと信じていたレールが見えなくなって不安になる人や、居場所になっていた拠り所が失われて孤独になる人が多くなっているのも事実です。やはり一定の不自由さの中でこそ担保される安心や連帯感といったものもあり、より自由になる中でも対価を得続けるためには、あらためて一人ひとりの意識も改革する必要があります。
今はこの大きな変化に適応するので精一杯だと思いますし、それで全く問題ないと思います。人も事業もまずは生き延びることが最優先です。
ただし、既存のシステムや権威が崩壊した先で、毒味する余裕もなく、良くも悪くも自由な環境に放り込まれる私たちは、自分は何を大切にどんなことをどのように行っていくのか「選択」を求められることになるでしょう。