アフターコロナ:マーケティングは、どう変わるのか? #03

こんな時代だからこそ“HOW”を追求しよう – 渋谷未来デザインの挑戦

 

こんな時代だからこそ“HOW”を追求していこう


 先ほどSIWに関して触れたが、あえてこの時期に発表したSIW2020の当初のテーマは、ポストオリンピック・パラリンピックを見据えて“THINK CULTURE”だった。それを、4月に入りチームで話し合い“HOW”に変更した。その理由は次のように説明している。

 “今を、これからを、どう生きるか。2020年、世界中の人々が向き合ったのは、この問いかもしれません。どのように働き、どのように学び、どのように楽しみ、どのように暮らすか。文化、経済、それを取り巻く社会、世界。守るべき価値と、新しく生まれる価値。2020年、私たちはどのように未来を想像できるだろうか。SIW2020はこの問いを様々な角度から掘り下げていきます。“

 つまりWHYやWHATの定義は変わらずとも、いま我われが知恵を絞って考えなければいけないのは、HOW(どのように)と、それに対応できる柔軟性とアクション。そしていかに自分自身、会社自身がちっぽけで、一企業や個人だけでは実現できないかをまじまじと感じされられたのではないだろうか。これは私も一緒である。

 ここからが、本当の意味で競争関係を超えるくらいのオープンイノベーションを起こせるのか、つまり共創・協業を戦略的に進めていくための決断力と行動力が必要かもしれない。

 最近、言い続けているのだが、マーケティングは社会にとってどうあるべきかをもっともっと考える時代だと思っている。“モノからコトへ”という流れとも相まって、マーケティングとして問われるようになるのは、まさしくHOW。

 商品も技術も、どうやって知ってもらうのか、体験してもらうのか、どうやって浸透させるのかを生活者の観点で真剣に考える必要がある。HOWを考えることはマーケティングの中では当たり前かもしれないが、今までではなく、これからの社会にとって必要な存在になるためにも、社内でもマーケティングの価値を改めて考え直すべきだ。同時に、お客様からはその価値が試されていく時代となっていくだろう。

 今だからこそ、行政との連携機関だから、渋谷区だからこそできる文化創造や新しい仕組みづくりを、テクノロジーを駆使して拡大し、モデルケースを他の地域に展開したいと思っている。

 すべてにおいて、マーケティングの仕事と直結しており、3年目となるここからが本当の意味で、世界に誇れる街のブランド価値創造とマーケティングとしての役割が発揮できると思っている。

 今回の状況下で、どんなことを考え、アクションしたかは必ず次へのステップにつながると思うと、ゆっくりとしている余裕はない。マーケターとして今、何をしたらいいのかと悩んでいる人もいるかもしれないが、まずは既存にとらわれずに、どんなアクションをしているかを自分に問いかけ続けている。

 最後に、ここ最近でも「イベントがなくなって、何してるんですか?」と聞かれることがある。どうも、相変わらず私はイベント屋さんと思われているのだろうか。暇と思われてもどうかと思い、「結構忙しいんですよ!」と言っていたら、ある人から「こんな時に仕事がどんどん来るのは、前向きで明るいからですよ」という嬉しいコメントをいただいた。

 時代を生き抜くためには、アイデアや知識、経験も大事なのだが、根本に戻って人としての「前向きさ」と「明るさ」というのも、こんな時だからこそ一緒に仕事をしたいと思ってもらうための大事な要素なんだなと改めて感じ、自分自身もなんとか笑顔で頑張ろうと思っている。
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