アフターコロナ:マーケティングは、どう変わるのか? #10
アフターコロナのマーケティングは、「LTV」と「トレーサビリティ」がキーワード【江端浩人】
「LTV」と「トレーサビリティ」が大事になる
さらにマーケティング視点で踏み込んで考えると、今後は「LTV(Life Time Value)」がより重要な指標になる。
例えば、スポーツビジネスであれば、会場に足を運んで応援してもらったり、課金型のPPV(ペイ・パー・ビュー)で観てもらったり、選手との交流会を開催したり、リアルでもバーチャルでも接点をつくって長く付き合ってもらうことが必要になる。
一方で、サードプレイスと言われるカフェなど、一時的に場所を提供するビジネスは会員化やオンラインの価値が提供できなければ厳しい戦いになるかもしれない。
消費者は、使い放題で利便性が高いサービスに慣れ、常に良いものを求めはじめる。それにはキリがない。だからこそ、サブスクリプションモデルで、できるだけ長く顧客と付き合い、LTVが高いビジネスモデルを考えることが大事になる。
もうひとつ予想できるポイントは、「トレーサビリティ(追跡可能性)」が大事になるということだ。その商品が「いつ」「どこで」「どのように」製造されたのか、値段以上に重要なファクターになるものも出てくるだろう。
これはコロナ禍によって、より「本質的な価値」が重視されるようになったことが関係している。マスクの転売が社会問題化したとき、悪徳な転売屋の情報がSNSで拡散されたが、それは始まりに過ぎず、企業は正しい行動をしていないと評価されない世の中になっていく。つまり、顧客評価が可視化されているAmazonなどのサービスがより信頼されていくと言えるだろう。
企業には、新型コロナによって起きる変化を冷静に分析し、何よりも素早く対応していくことが大事になるだろう。皆さまのご意見があれば、ぜひお寄せいただきたいと考えている。
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