アフターコロナ:マーケティングは、どう変わるのか? #08
リモートワーク中心の時代が到来しても、生き残れるマーケターの条件【今西 陽介】
変化に順応した仕事の方法を学ぶ
仕事の成果のパフォーマンスは数式にすると、「仕事の生産性×労働時間」です。「仕事の生産性」を上げるには、①価値の高い仕事をできる限り早くする、②価値の低い仕事はしないことが大切になります。この生産性をいかに高められるかで、リモートワークにおいて大きな差が生まれるでしょう。
すなわち“効率性”をさらに求めて、“分かりやすい成果”を出すことができなければ、コロナ禍では生き残れません。マーケターは「定量×定性」で仕事を設計しつつ、現有リソースで最大の成果を上げるというマインドを持っている人が多いですが、そこに今まで以上に効率性が求められるようになったのです。
ダーウィンも、種の起源で「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である」と言っていたのは、まさに現代社会へのメッセージかと思います。まさに急速な変化に対応できるかがすべてです。
「2ランクアップ」の視点を持ってみよう
変化が求められる時代のビジネスパーソンは、次の2種類のどちらかに分けられます。
- 仕事を能動的につくり出す人(creative)
- 仕事を受動的に受ける人(operation)
言い換えると、1は物事を生み出す人、2は物事を回す人とも言えます。ビジネスは1も2も大切ですが、仕事をつくり出せる人の方が価値が高いのは言うまでもありません。ただ、価値をつくる人はビジネス市場で自身を過大評価し、仕事を受ける人に対して過小評価しがちなのですが、実態として両方の役割が必要なケースが多いので、互いへのリスペクトが必要です。
リモートワークが、これまで以上に広がったことにより、1の人は体感として、以前より忙しくなったと感じることが多いと思います。一方で、2の人はリモートワークになって、ラッキーだとか、楽だと感じることもあるようです。オンラインになったことで、座席で話しながら、カジュアルに仕事を受けていた人が、仕事が少なくなったという話も知人から、ちらほら聞いたりします。
受動的の人が、能動的になるには、視点を変えるしかないです。
DeNAでは「2ランクアップの視点」と呼んでいるのですが、現場で受動的なことをしている人は、部や会社全体の課題感の目線、立場になることにより、上位の問題、課題に取り組めます。現場のオペレーションの部分で、タスクがない場合も、上位の問題まで目線を上げれば、実際は山ほどやることはあります。
(図表)2ランクアップの視点のイメージ
また、マネージャー職の人は、受動タイプの方が悩んでストレスを抱えないようにフォローすることも大切です。
全員が環境変化に適応できるわけではないので、チームで仕事をする以上はカバーしていくというマインドも重要です。リモート環境でのチーミングスキルは、マネージャーによって大きく差が出るポイントでもあります。