アフターコロナ:マーケティングは、どう変わるのか? #09

ニューノーマル時代を切り開く、5つの行動指針 【菅恭一】

 

指針②:資源を棚卸しする


 少し経営者的な目線が入ってしまいますが、コロナ禍に突入して私が真っ先に確認したのはキャッシュです。現在、自社にどれくらいの資金があるのか。バッドシナリオで予測を立てたときに、どれくらい持つのか。あるいは、投資可能な余剰金はどれくらいか。

 これはブランドや事業のPLでも同じことが言えます。まずはお金と期限。これは綺麗事抜きで、把握しておかなければならないことです。この数カ月間でも、資金に限りのあるベンチャー起業が早期に舵を切りなおした事例がいくつも出てきました。

 次に、サービス、スキル、人材、ネットワークです。ニューノーマル時代に適応したビジネスモデルを模索する上で、自分たちが再解釈可能な資源は何かをはっきりさせるだけで、ずいぶんと戦い方が明確になります。資源を明確に、できること、できないことをはっきりさせる。戦略の第一歩です。


 

指針③:変化の兆し(オポチュニティ)を掴む


 変化の兆しは、2つの視点から得ることができます。ひとつ目はマクロトレンド。PESTLE(政治、経済、社会、技術、法律、環境)の視点で眺めてみることをお勧めします。地上波などの大衆的な情報も日常生活には有用ですが、視点に偏りが出そうです。俯瞰して情勢を眺め、一歩先に思考を巡らせるために、海外メディアに目を通すのも良いかもしれません。

 私の場合はフィナンシャル・タイムズやウォール・ストリート・ジャーナルを以前に増して意識的に読むようになりました(これは通えなくなってしまった英会話の補講にもなっています)。



 また、マッキンゼーやボストンコンサルティングのようなコンサルティングファーム、モーニングコンサルのような海外のリサーチ会社から定期的に発行されるレポートも役に立ちます。

 二つ目はマイクロトレンド。マーケティングで言うところの、生活者の観察です。withコロナ時代に突入し、私たち生活者は行動の変化を余儀なくされました。この行動変化を引き金に、意識や価値観の変化が生まれつつあります。この変化から新しい市場が生まれることは間違いありません。この兆しを掴むために必要なのは、マーケターが自身の感覚で生活者を観察することです。

 いまはフィールドワークが簡単ではない状況ですので、オンラインでリサーチを行うのも選択肢です。BICPの場合は、インサイトリサーチの専門会社、デコムが提供しているトレンドバンク、ニューノーマル・プラネットなどの手法を活かして、新たに生まれた「n=1」の新奇事象の収集とその背景にある生活者の価値観、インサイトの変化に着目し、思考に取り入れるようにしています。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録