RYUKYU note #02

沖縄の天ぷらは、おやつ。ファミマと提携で注目「上間てんぷら」の成長物語

 

沖縄ファミリーマートと提携、在庫切れで生産調整


――マーケティングという視点では、上間天ぷらはどのような考えで展開されているのですか。

 現在のマーケティングの方針は、沖縄天ぷらというカテゴリーをまず確立させること。沖縄天ぷらは、沖縄そばやタコライスに比べると、県外での認知度がまだまだ低いんです。一方で、ローカルでの認知度は非常に高いので、県外でも認知度を高めて新しい沖縄グルメとしてのポジションを得たいと思っています。

――そのために仕掛けている施策はありますか。

 昨年10月に発表した、ファミリーマートとの業務提携です。私たちは配架率と認知の両方に課題があり、それを同時に解決する方法が思い浮かばず、頭を抱えていました。そのときに、私が吉野家の伊東正明さんの「伊東塾」を受講して、そこで学んだポジショニング戦略のフレームワークを使って戦略分析をして、「コンビニが沖縄天ぷらを売り出したら、一番の脅威だね」という話を役員としていました。



 そんなある日、某大手コンビニエンスストアから「沖縄で展開を強化するにあたり、その目玉商品として沖縄天ぷらを売りたい」という連絡がきたんです。ただ、先方がどの程度投資を考えているかなどが分からず、悩んでいたときに偶然、沖縄ファミリーマートに出資するリウボウグループの糸数剛一会長とお会いしました。

 その際に、「沖縄のファミリーマート全店で、沖縄天ぷらを展開してもらえる可能性はありますか」と尋ねたところ、即答で「やりましょう」と言っていただいたんです。

――「ファミマの沖縄天ぷら」ではなく、「上間の沖縄天ぷら」として展開されているのがすごいですよね。

 当初は「ファミマの沖縄天ぷら」にするという声もあったのですが、先方の担当者が沖縄出身で「上間の天ぷらじゃなきゃ、売れません」と言ってくれて。

 沖縄の人は沖縄のことが好きなのに「ファミマの沖縄天ぷら」だと、ほかの新商品に埋もれてしまって何のエッジも立ちたない。それが地元で愛されている小さなローカルブランドがメジャーブランドと一緒に並ぶことで、沖縄の人にとって衝撃を与えられるんだ、と。

 実際にその通りで「ファミマでUEMA」というワードがSNSで話題になりましたし、発売時にテレビCMを打ったところ、ファミマが想定していた数の3倍売れました。





――それは、すごいですね。

 そのあとに先方の担当者と成功要因を議論しましたが、やはり沖縄の人は一方的に東京から送られてきた商品をマーケティングされることに、自分たちのストーリーを感じられず辟易していたんです。そうした中で、自分たちのブランドが展開されたので、すごく愛着を持って買ってもらえているということでした。

 発売当初は月間30万本までいければ、御の字だと考えていましたが、今は40万本です。それでも生産体制の限界から発注制限をかけている状態なので、今後も供給を増やしていきたいと考えています。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録