RYUKYU note #02

沖縄の天ぷらは、おやつ。ファミマと提携で注目「上間てんぷら」の成長物語

 

食を通して沖縄の文化に良い影響を与えたい


――上間弁当天ぷら店は、沖縄天ぷらの歴史の中でどのような位置づけなのでしょうか。

 そもそも沖縄天ぷらは、私の祖父が始めたのがきっかけなんです。沖縄には昔から「刺身屋」という店舗があって、魚を下ろして販売するお店がたくさんありました。

 しかしあるとき、沖縄に原子力潜水艦が寄港するという噂が流れて、そのせいで沖縄の海が被爆しているという風評被害で、刺身がパタリと売れなくなって・・・。毎日捨てざるを得ない刺身をどうにかできないかと、祖父が天ぷらにしたのが始まりだと聞いています。

 昔は「まちやぐゎー」と言って、今のコンビニのような小さい商店がたくさんあり、その惣菜コーナーで天ぷらが売られていたみたいです。でも最近は減って、上間弁当天ぷら店以外では、個人の飲食店のようなお店ばかりです。



――ほかの天ぷら店は個人商店の域を出ないなかで、上間天ぷらが戦略を組み立て、大きく成長できたのは、なぜでしょうか。

 私が26歳のときに、経営におけるメンターと言える方にたまたま出会えたのは大きかったです。今も支援してもらっているのですが、その方から目的を定義してそこに至る方針をしっかり決めるという戦略的な考え方や、それを実行するための組織づくりを学びました。

――上間天ぷらでは、どのような組織づくりをされているのですか。

 我われの組織の目的は、大きく2つあります。ひとつは、社員の所得水準を上げること。沖縄の飲食業の所得平均は200万円程度と低いため、400万円まで引き上げたいと考えています。

 もうひとつ、これは私の経営理念でもあるのですが、食を通して沖縄の文化を発展させることです。沖縄は島国であるうえ、日本や中国、米国の影響を受けて食文化が独特。その中に沖縄天ぷらのようなポテンシャルを持っている食事が、まだまだたくさんあるんです。そうした食事をもっと多くの人に親しんでもらいたいと思っています。

――最後に、今後の展開について教えてください。

 ファミリーマートとの提携後にアンケート調査を行ったところ、上間天ぷらの県内認知率は93%でした。そこで今後は店舗数を増やす予定です。具体的には、3年以内に15あるいは20店舗体制にしていきたいと考えています。

 そうした活動を通して、沖縄天ぷらのカテゴリーを確立させて、リーディングカンパニーとして成長していきたいですね。
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