マーケターズロード 鹿毛康司 #01

鹿毛康司氏、独立して目指すは「生涯、マーケター」

 

鈴木会長との面談で「独立」が決まる


 先ほども言ったとおり、退職・独立するタイミングはこれまでに何度もあったわけなんだけど、決め手になったのは、やはり鈴木会長の言葉でした。半年くらい前、2019年12月に2人で寿司を食べていたとき、「独立なんてのも、仕事が続けられていいもんですよ」と言われました。「サントリーの開高健になったらどうですか?」、そして「そうすれば、ずっと仕事ができますよ」と。

 独立するならこれがラストチャンスだろうと思ったし、エステーという会社が成長のために新陳代謝を重ねていく中で、もうここに僕の居場所はないとも思うようになっていたから、その場で「独立させてもらいます」と伝えました。

 会長には「そうか、ただ!君がいなくなったら、宣伝がガタガタになっちゃうなあ」なんて言われたけど。



 転職するか独立するかは、迷っていた時期もありました。もう60になるけれど、いまだに色々な引き合いがあったから、転職もひとつの道ではあった。

 そこで頭をよぎるのは、最初に紹介した富永さんの「鹿毛さんの趣味は、マーケティングなんですよ」という声。自分は、ビジネスパーソンとして生きていきたいのか、マーケティング・コミュニケーションをする人として生きていきたいのか――揺れ動く中で指針を求めるように、いろいろな人に話を聞きに行きました。

 森本千賀子ちゃん(morich代表取締役。リクルートで歴代トップの累計売上実績を持つトップ営業パーソン)もそのひとり。「もし俺が転職するとしたら、どこかいいところある?」と聞いたら、「鹿毛さんは独立しかないでしょう!」と断言されましたけど。




  結局のところ、僕は自分で計画して独立しようとしたわけではないんですよね。ずっと「独立したい」とは言っていたけど、具体的なプランは何もなかった。ボイストレーニングもダンスレッスンも一向にする気配がないのに「アイドルになりたい!」とだけ言っているみたいなもの。

 きっと記事を書くのに、もっと立派な理由を聞きたいですよね。でも世の中、そんなもんなんじゃないかな?

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