マーケティングの賞に意義は、ありますか？ 【音部で壁打ち】

広告賞はクリエイターだけの賞ではない

 広告賞を受賞することで、一緒に働くチームメンバー、とくに代理店のメンバーの苦労に報いることにもなるでしょう。サラリーマンやフリーランスとして給料や報酬はもらっていますが、卓越したアウトプットを同業の先輩や仲間たちから公に認めてもらうことは、誇らしいことです。お金では買えない動機づけにならないわけがありません。そして、キャリアにわかりやすい戦績が追加されます。そうした広告賞を受賞できることは、クリエイティブだけの特権ではないと考えます。一緒に働いたマーケティングチーム、アカウントチーム、調査チームなどのチームがあってのことです。そうしたマーケター向けの賞をもらえたのは、一緒に働いた製品開発チーム、営業チーム、代理店チームなどのチームがあってのことです。みんなで受賞するのです。

 映画賞で与えられる男優賞や女優賞、監督賞などもいい作品といいチームがあったからではないかと思います。野球もサッカーもよくわかりませんが、チームはボロボロでもひとりだけ優秀だったからMVPを受賞、というわけではないように思います。受賞者はコピーライターだったり、マーケターだったり、クリエイティブディレクターだったりするかもしれませんが、そのチームとプロジェクトだったから獲れた賞なのではないかと思います。おそらく、受賞された方々の多くはそう思っていらっしゃることでしょう

 ブランドマネジャーやマーケティングディレクターをしていた頃には、自身が担当するブランドでいくつかの広告賞やマーケター向けの賞をいただく幸運がありました。チームと人材に恵まれた結果ですが、みんなが誇らしくうれしく感じました。CMOとして受賞したり、独立後に受賞することもありましたが、それらも自分の力だけでなく、みんなの力で実現できたことです。大人になってから褒めてもらえるのは、とてもありがたく、誇らしく、うれしいことでもあります。最近では、審査員をさせていただく機会も増えてきました。それらの賞も次世代マーケターたちの励みになることでしょう。そうした手伝いができるのは、とても素晴らしい機会だと思っていますし、送る方も送られる方も、大切なプロフェッショナル冥利につきることだと考えています。

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