音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #16

人はなぜ、ガンダムを愛してしまうのか?【音部で壁打ち】

 

ブランディングの観点からガンダムを語る


 すぐに思い出すことができ、思いつくものだけでも、こんなにあります。皆さんが好きな理由も入っているかもしれません。あと10分も考えたら、さらに倍は出てきそうです。際限がないですが、いずれも十分条件のように思われます。いくつか固有名詞もありますが、それらは他の作品にも同様の固有名詞が存在するでしょう。

 そこで文化としてガンダムを語るのではなく、マーケティングのコラムらしくブランディングの観点から考えてみたいと思います。



 ブランドとして考えたときには、とてもわかりやすく重要な側面があります。それは「ガンダムがすでに消費者の手に渡って久しい」ということです。

 ブランドは、発生の経緯としては創始者や開発者がつくり、法的には商標権を持っている法人や個人に帰属しています。同時に、ブランドは「意味」なので、世の中に確立されると公的な存在となります。法的な所有者であっても、自由自在にいじっていいものではなくなるのです。

 このレベルまで進化するブランドはきわめて少数ですが、有名な事例がコカ・コーラにあります。米国で過去に一度だけコカ・コーラがその味を変えたことがあり、「ニューコーク騒動」、日本語のウィキペディアでは「カンザス計画」と調べると出てくる話です。
 
写真提供:123RF

 同業のペプシコ社による「ブラインド(目隠し)テストでペプシが選ばれた」という広告アイデアを中心とした「ペプシチャレンジ」というキャンペーンに対抗して、「味でペプシに勝ったニューコーク」という新商品を1985年4月23日に新発売します。そして、すぐにファンから猛反発と猛抗議を受けることになります。「われわれのコークの味を勝手に変えるな」というわけです。

 それを受け早々に、3カ月後の7月11日には「クラシックコーク」として旧型が復活し、いまでは、そのクラシックが唯一のコカ・コーラとして売られている、という話です。

 余談ですが、ある外資系企業では4月23日を“Consumer is Boss Day”と呼んでいました。マーケティング巧者であるアトランタ(コカ・コーラの本社がある都市)すら見誤った「ブランドはマーケターと消費者が共有するものだ」という教訓をあらたにしよう、という日でした。

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