RYUKYU note #03

泡盛「残波」が幅広い世代に愛されるお酒になるまでの、親子3代の奮闘

 

コロナ禍で、考え方も大きく変えた


――今後の展開について、どのように考えていますか。

 ブランドコンセプトのひとつに「読谷から世界へ」という言葉を掲げているのですが、コロナ禍で状況が変わり、今後は考え方も変えていく必要があると感じています。

 これまで沖縄は離島というハンデがあり、県外から資材を仕入れたり、県外に商品を輸送したりするのが難しいため、東京や大阪など大都市圏に支店を構えて倉庫を持ち、飲食店から大量注文を受けることを考えていました。しかしコロナ禍で飲食店から客足が遠のき、ボトルやビンの商品が動かなくなりました。



 そこで考え方を変えて、ECサイトなどで一般のお客さんに直接販売するということに力を入れたいと思っています。それに伴って沖縄に行きたいけれど行けない、でもこの商品が欲しいと思ってもらえるような、魅力ある商品もつくっていけたらと考えています。

 ただ、沖縄県内には飲食店が非常に多く、沖縄の文化に「模合」(もあい)という、共助会のようなシステムがあり、少なくとも月1回は夫婦がそれぞれ「模合」(もあい)に行く、つまり飲み会に参加するという習慣がある。絶対に飲む機会はなくならないので、飲食店の需要も何とか生き残っていくとは思います。

 消費量は少ないのですが、スーパーマーケットやコンビニで扱われている紙パックの商品は変わらず売れ続けているので、今後ウチ飲みの需要が増えれば、ビンの商品が紙パックに代替されるなど、新しい消費形態になっていくでしょう。今はそういった状況も踏まえて、今後の展開を考える必要があると思っているところです。

――最後に、沖縄をはじめ全国の若手経営者にメッセージをお願いします。

 2代目がよく言っていた「人が遊んでいるときにたくさん仕事をする」という言葉を伝えたいです。また、2代目は生涯初心を忘れない「初心生涯」という言葉も大切にしていました。それを、今は「伝統が先を行く」という言葉に変えてブランドコンセプトに掲げていますが、古いものをきちんと知ったうえで、自分たちの新たな色を出していくことが一番必要だと思います。

 当社も新型コロナウイルスの影響で経営計画を練り直しています。厳しい状況下でも、自分たちにできることをどんどんして、先に進んでいくしかないのではないでしょうか。
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