アフターコロナ:マーケティングは、どう変わるのか? #特別編

有料チケットを5000枚以上販売。「劇団ノーミーツ」会わない制約から生まれた新しいエンタメの可能性

 

ZOOM演劇にかかせない「テクノロジスト」の存在


 藤原氏は、普段はオーダーメイドウェディング事業を展開するCRAZYに勤務しており、そこで培った演出経験を生かし劇団ノーミーツではオペレーション全体の統括を担当している。Zoomを演劇公演で使うには、緻密な遠隔操作が必要であり、その役目を担っている。同氏は、フルリモート演劇を実現させるまでは、「常に手探りの状態で、日々実験しているようでした」と振り返る。

 特に苦労したポイントは、「制約」と「通信環境」だ。Zoomのギャラリービュー機能では、参加者が参加した順にサムネイル表示されるが、順番にZoomに入っても画面の位置が人によってずれてしまうことがある。また、リアルに会えない中で、役者のZoomへのリテラシーを底上げすることが課題となり、出演者に向け配信オンラインマニュアルをつくり、入念な確認作業を行なった。

 「Zoom演劇というとテクニカルな印象を与えますが、役者にしてもらうことは、Wi-Fiにつなぐ機器を少なくしたり、インターフォンの音を消してもらったり、パソコンの下の空間を開けてもらうなど、かなりアナログな作業です。こうした作業を地道に頑張ってもらいました」と、藤原氏は話す。手探り状態が続いた4月は毎晩、実験を繰り返していたという。
 

 もうひとつ、頭を悩ませたのが通信環境だ。環境が悪いと、Zoomが途切れたり、固まったり、最悪の場合は落ちる可能性がある。落ちた場合の代替案も考える必要があった。

 「通しのリハーサルの前に、実験として300人ほど観客を集めて練習したのですが、その日にZoom自体のサーバーが落ちたんです。映像が全く表示されなくなり、結局は音声のみのラジオ形式にして乗り切りました。野外イベントに悪天中止があるのと同じで、Zoomのサーバーが落ちたら私たちは本当に終わりなんだなと、痛感しました」(梅田氏)。

 公演時のオペレーションのやり取りには、LINE電話を使用した。「オペレーションメンバー3人が、LINE電話で『GO!』出しをしていました。そこでキュー出ししながら全ての画面共有やサウンド共有を行なっていたんです」(藤原氏)。ひたすら台本を頭に叩き込み、タイミングに合わせて回線を切り替えていく技術は、専門家でなければ到底できない域に達していたと語る。

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