マーケティングの現場で起きているデータ分析時に陥りがちな罠 #01
FacebookとP&Gでの経験から気づいた「データ分析の罠」
Result(売上・利益)とCause(原因)にこだわって見えてくるデータ分析上の罠
「そのプランって本当にビジネスにとって意味があるの?目的は?」P&G在籍中に上司からのフィードバックとしてトップ5に入るくらいよく聞いたセリフです(私のチームのメンバーも何度私からこれを言われたかわかりません笑)。
これはプラン(Cause)から売上・利益(Result)へのつながり・ロジックが不明なとき、すなわちCausality(因果関係)がよく見えないときに言われます。Causality(因果関係)を理解することはマーケティングをする上で再現性の担保になります。
逆に言えば、因果がわからない場合、偶然その結果になったこともありえるため、いくら投資しても同じ結果が出ないと言うことが往々にあり得ます。
データ分析上の罠:見せかけの原因に騙される(因果ではない相関に騙される)
「こちらの指標と売上と相関があるんです」。相関分析は非常に簡単な統計分析なのでマーケティングの現場でもよく使われています。しかし、こう言われたら、まず最初は疑ってください。
相関関係は因果関係とは似て非なるものです。相関関係は2つの現象が同時に起きていることを示すだけで因果があるとは限りません。P&G時代の経験も含めた上での例をひとつ出すとすれば、ソーシャル上のバズと売上の関係です。SNS含め大量にテレビなどのメディアなどに投資をし、店頭でも良い棚を取った結果、非常に売れた。大量にメディア・店頭露出をした結果SNSでもバズる。この場合、同時期に起きているため、相関はありますが因果はなく、あくまで大量露出が原因になります。
その結果、次回バズの部分だけを再現してもビジネスが伸びないという事態になります。誤解しないでいただきたいですが、逆にバズが売上に貢献するケースもあります。
例えば、バズにより認知が全くなかったブランドが認知率を伸ばし、売上に貢献するケースです。大事なのは相関があるという一言に踊らされるのではなく、常に再現性確保のために、単体の相関ではなく全体を見た上で売上・利益の増減を見ることで原因を見極めることだと思います。その上で、売上・利益を伸ばすための再現性のある因果関係をつくることがマーケターの仕事なのではないかと思います。