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世界的デザインファーム フロッグが語る、コロナ禍における「イノベーションの現在」

 近年、多くの企業がイノベーションを生み出すために「デザイン思考(デザインシンキング)」を取り入れている。そうした状況の中、新型コロナウイルスによる影響で組織の在り方や、人の働き方が大きく変化し、全世界で従来の枠組みにとらわれない思考法が求められている。

 そこで初期のApple製品のデザインを担当した世界的なデザインコンサルティングファームであり、2016年には電通との提携でも注目を集めたフロッグデザイン(Frog Design Inc.)エグゼクティブディレクターのトゥーリ・マッキンリー氏にインタビューを実施。20年以上にわたって組織設計やサービス・エクスペリエンスデザインなどの領域で活躍する同氏から、コロナ禍におけるデザイン思考の可能性や成功のポイントなどを聞いた。
 

コロナを機にイノベーションのスピードが上昇


Turi McKinley(トゥーリ・マッキンリー)
frog design inc. Global Practice Lead and Executive Director, Org Activation
20年以上、組織設計、サービス・エクスペリエンスデザイン、デザインリサーチを含むデザイン領域で活躍。フロッグデザインのグローバルにおける組織設計プロジェクトをリードし、クライアント組織の人間的な可能性を引き出し、フロッグデザインもしくは彼ら自身がデザインした体験、製品、サービス、ビジネスを立ち上げ、維持し、進化さることのできる組織をデザインしている。GEに対してはユーザー中心でのソフトウェア開発のための組織変革に携わり、UNICEFには新興国のニーズを取り入れる組織設計、Roche DiagnosticsやAmerican Expressなどの企業と協力して、大企業でクリエイティブチームがより戦略的な役割を担うようになるためにCX/UXの成熟度モデルを設計。

――フロッグデザインは、ビジネスにデザイン思考を取り入れることでイノベーションを起こしてきました。新型コロナウイルスによるパンデミックをきっかけに、イノベーション領域にどのような変化が起きていますか?

 たしかに、この半年で世界はガラッと変わりましたが、変化に前向きな企業はコロナ禍だからこそ新しいクリエイションやビジネス、イノベーションが生まれるチャンスだと捉えています。

 たとえば医療業界。従来であれば診察は対面が当たり前でしたが、今はリモートによる治療が当たり前になりました。この数カ月で過去15年分のデジタルトランスフォーメーションが一挙に起こった、と言っても過言ではないでしょう。

 新型コロナの影響でイノベーションの速度が上がり、フロッグのクライアントであるスタートアップ 2社がプロダクトのローンチを早める決定をしました。現在のタイミングに合ったプロダクトだったため、需要が大きく伸びると判断したからです。

――そうした急速な変化に対応し、企業を支援するために、フロッグデザインはどのような取り組みを行っているのでしょうか?

 私たちがこの数カ月間、取り組んできたことは、企業に対して厳しくも大きな視点から質問を投げかけることです。なぜかと言うと、クライアントはこの緊急事態の中で常に「素早い判断をする必要がある」というプレッシャーに晒されているからです。

 しかし今こそ重要なのは、長期的な視点で取るべき戦略を見極め、大きな判断をすること。私たちは外部のコンサルタントとして、クライアントが急ぐあまり、誤った判断をしないよう一度立ち止まって何が起きているのか、一緒に考えようと提案しています。

 一方で、日々の業務に関する具体的な提案も行います。たとえば、リモートワークにスムーズに移行するために、その企業に合ったツールを提案したり、チーム内の連携が取りやすくなる仕組みづくりをしたり、対面で行っていた業務をリモートで行うために必要なテンプレートづくりのお手伝いをしたりしています。

 コロナ禍でワークスタイルがリモートに移行し、対面であれば問題なく対応できていたことが、きちんとしたプロセスがなければ、難しい状況に変わりました。デザインと共創のオペレーションプロセスを確立したところだけが、それをベースに新しい働き方やアイデアの出し方にうまく対応できると考えています。

――リモートワークのツールまで提案されるのですね。具体的には、どのようなツールがおすすめですか?

 ツールはたくさんありますが、ひとつですべてをまかなえる完璧なツールは、残念ながらありません。ツールの導入時は、企業ごとのITインフラや文化に合ったものを選ぶべきだと思います。

 そのうえで、チームの共創を促す良いツールを紹介すると、お互いの顔を見て会話ができるものです。たとえば、Zoom、Microsoft Teams、Slack、Cisco Webexなどが挙げられます。やはり人と話をするうえで、顔を見せあうことが大切だと考えています。その際の背景も実際のものを、できるだけ見せるべきです。

 また、オンライン会議ツールとは別に、必要なときに随時アクセスして情報交換ができるファイル共有ツールも企業内で準備しておく必要があります。具体的にはKeynoteやDropbox、SharePointなどが挙げられるでしょう。

 ツール選びで重要なのは、そのツールで何を成し遂げたいのかという目的をはっきりさせること。この課題を解決するには、このツールという明確に振り分けをすることで、自社にとって必要なツールが見えてくると思います。

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