RYUKYU note #04

沖縄国際通りに5店舗を構える、「首里石鹸」のユニークな出店戦略

 

地元に愛されることが、観光客の増加につながる


――地元の人が多く訪れる商業施設 PARCO CITYにも出店していますが、それはどのような意図があるのでしょうか。

 メインターゲットが観光客であることに変わりはありませんが、地元の人からも愛されたいと考えたんです。以前、北海道旅行に行った際、ジンギスカンが食べたいと思ってグルメサイトの評価が一番高いお店に行ったのですが、そこでは満足できず、地元の人にオススメのお店を聞いて訪問したら美味しかったという経験をしました。それで地元の人に愛され、オススメされるブランドは、観光にもいい影響を与えると感じました。

 地元の商業施設では、最初に那覇市の商業施設である那覇オーパに出店しましたが、残念ながら売上が立たず1年を待たずに撤退しました。撤退の前後にPARCO CITYへの出店が決まり、そこは館自体の集客力が強いこともあって継続して出店しています。



 ただ、那覇オーパから撤退した中でも成功体験があり、私たちの商品は日常的に使うには高いため、沖縄県民は割引で買える商品を3つ用意したところ、とてもよく売れました。この施策はPARCO CITYでも継続し、ファンになってくれた人がじわじわと他の人を連れてきてくれていることを実感しています。

 同時に、県民からギフト商材として選ばれるようになったことも大きかったと思います。お土産とギフトは似て非なりですが、共通点も多いんです。例えば、購入時に商品の良さを実感する人と、実際に受け取って使う人が違うという点。この顧客接点には2つのサプライズが必要で、それは①買ったとき、②渡すときになります。

 そしてギフト商品は、お土産と比較にならないほど、この②についてのお客さんからの感想の量が多く、集まるスピードも早いんです。そこで、その感想を聞いて商品をリニューアルすることができるんです。
 

大事にしているのは、正直でいること


――着実にビジネスを伸ばしている緒方さんの「経営者としての強み」は何でしょうか。

 当社は「何をするかだけでなく、誰と何をなすのか」に重きを置いているため、何ごとも社員の同意を得ながら、一緒につくり上げていくという姿勢で進めています。そうした姿勢からか、人を巻き込む力は強いと思います。



――緒方さんが、経営者として大事にしていることをお聞かせください。

 大事にしているのは、嘘をつかないこと、そして、きちんとお礼を言うことでしょうか。沖縄は小さな島なので、ちょっと調子に乗ったり、嘘をついてごまかしたりすると、すぐに伝わるんです。

 もし約束を守れなかったとしても、きちんと理由を話して素直に謝るべきです。特に私は20年前に沖縄に来た、いわゆるナイチャー(本土から沖縄に移り住んだ人)なので、そうした配慮は忘れてはいけないと思います。そして、この島への恩返し。「“ためになる”をする」を積み重ねて、自分たちで歩む道を選ぶことができる人生をおくるための事業をつくりあげたいと願っています。
他の連載記事:
RYUKYU note の記事一覧

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録