マーケティングの現場で起きているデータ分析時に陥りがちな罠 #02
データ分析の典型的な罠「ガベージイン・ガベージアウト」知っていますか?
2) 定義の罠
2つ目の罠が「定義の罠」です。ここではデジタル指標として主流なインプレッションとクリックを例にとってお話したいと思います。
- インプレッション:たとえばFacebookでは、ブラウザーでもアプリでもその広告がスクリーンに表示されるまでインプレッションはカウントされません。一方で媒体によっては視認不可能なインプレッションやBOTによるインプレッションもカウントされたりします。ビューワビリティーと言われる問題です。
- クリック:意外と知られていない事実として、クリックの定義も媒体によって違うことがあります。Facebookの場合は実際にアクションを伴うクリックだけをカウントしています。しかし媒体によっては、ある程度の秒数の視聴があるインプレッションもクリックしたのと同等の価値があると判断しカウントされています。問題は第三者の計測ツールであってもこの部分の詳細はわからないということです。クリックの定義が違うのであれば、CTRやCPCなどの指標はミスリードされる可能性があります。
今後の予測:データの質と利用者のプライバシーの両立が重要
今後、企業が扱うデータの量は増えることはあっても減ることはないでしょう。その大量のデータを効率よく、ビジネスに使える知見に変えるため、AI・機械学習の利用も必然の流れだと思います。今までは外部のデータを購入するケースもありましたが、今後はデータの量だけではなくそのデータの質が必要になっていくと思われます。
もうひとつ重要な問題があります。利用者のプライバシー保護です。ヨーロッパではGDPRが、カルフォルニア州ではCCPA(カリフォルニア州消費者プライバシー法)が施行され、日本でも個人情報保護法の改正に関して議論されています。
このような背景の中、今までアドテク技術の中心に使われていたCookieやデバイスIDが使えなくなっていきます。実際にApple社のITPやiOS14により、CookieやデバイスIDは使えなくなり、Google社もChromeで同様の指針をすでに出しています。
今後は「データの量・質、その利活用」と「利用者のプライバシーへの配慮」を両立した方法を業界全体として模索していく必要があり、先を見据えたビジョンとそれを支える技術力による革新が求められます。
たとえばFacebookではCookieやデバイスIDに頼らず、クライアントやその代理店とのサーバーと弊社のサーバーをバックエンドで繋ぎ、データをハッシュ化して送る「Server to Server」の手法を採用していきます。利用者のプライバシーについても今までのデータの共有方法以上に配慮されたものであり、かつデータの量・質を担保できる設計になっています。数年前からプライバシー問題について率先して取り組み、このCookieレスの状況を予測しグローバルとしての優先順位を上げ、年月をかけて準備をしてきた結果です。
今後はデータの利便性だけでなく、データの質や利用者のプライバシーに配慮した技術を持つ企業やそのクライアント・パートナーが優位に立っていくと思います。