アフターコロナ:マーケティングは、どう変わるのか? #11

消費者はコロナとの長期戦に腹をくくり、自分らしいニューノーマルを探す旅に出た

 

新しい価値観が出現ではなく、欲求の加速と減衰が起きている


 コロナの影響で変化した生活/消費行動(n=1の定性情報)を、オンラインで収集し分析を行いました。緊急事態宣言下の調査時には1005人、解除後の調査では1138人の生活/消費行動を収集しました。

 具体的には、コロナ禍で変わった生活行動に関して、人はいつどんなときに(シーン)/どのような要因によって(ドライバー)/どのような感情を伴う価値や不満を感じて(エモーション)/その背景にはどんな生活や価値観があるか?(バックグラウンド)といった、当社が定義するインサイト4要素について分析を行いました。

 また、明らかにした“新・欲求”に関して、一般消費者(全国15歳~79歳男女)に対して定量調査を行い、共感度/持続度/未充足度の3つの側面で評価してもらいました。

 緊急事態宣言下に行った調査を分析する前は、「現代人が経験したことないパンデミックで生活は一変してしまった。生活者の価値観も一変しているだろうか?まったく新しい価値観の出現はあるだろうか?」という視点で大量のn=1の定性情報に向き合ってみましたが、そんなことはありませんでした。

 消費者に、まったく新しい価値観が出現しているわけではありません。コロナ禍がもたらした変化とは、次のようなものでした。
 
  • これまでは弱くくすぶっていた欲求が、強くなった
  • これまで感じている人や感じられる場面が少なかった欲求の、感じる人や感じる場面が増えた

 つまり、これまでも存在していた欲求で、加速しているものと減衰しているものがあるのです。加速する欲求に応えることができれば、それは企業にとってのオポチュニティとなります。

 逆に、これまで自社が提供していた価値が、減衰している欲求に応えようとするものだった場合、ビジネスは縮小に向かってしまいます。

 この加速と減衰の変化を見極めて、自社ブランドから消費者にどんな提案ができるのかを考えなければなりません。

 次回は、7つの旅路の中身の新・欲求について紹介します。
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