アフターコロナ:マーケティングは、どう変わるのか? #特別編

コロナ苦境の銀座。ライトパブリシティがプロボノで応援「New Style New GINZA Project」

 

長期的に銀座をブランディングする見通し


 最初にライトパブリシティがプレゼンした際は、プロボノ活動として1年間ほどを活動期間と予定していたが、「一過性のものにはしたくない」という意見もあり、話し合いを経て、「コロナと共生していく時代の銀座そのもののブランディングを、長期的なスパンでも考えていかねばならない」と、ライトパブリシティ クリエイティブディレクターの倉橋洋樹氏は語る。
 
ライトパブリシティ クリエイティブディレクター 倉橋洋樹氏。

 第2弾の内容もすでに決定し、銀座の⽼舗店が誇るプロフェッショナルによるオンライン授業「銀座学校」などの展開を予定している。銀座には、一流店で働く寿司職人やバーテンダー、テーラーといった様々なプロフェッショナルがいる。そうした人たちを取り上げ、たとえば家で楽しめる寿司の握り方や、シェイクしなくてもできるカクテルのつくり方など、家でも一流の技を楽しめる動画をつくることで、銀座の街への注目度を高めていこうと考えているそうだ。

 第1弾では銀座の街に足を運んでもらうことをPRしているものの、やはりまだまだ気軽に訪れられる状況にはなっていない。そこで、銀座から足が遠のいている人にも銀座を身近に感じてもらえるような動画を、随時配信していく見通しだ。

 プロボノと聞くと、弁護士やコンサルタントなど、目に見える資格や肩書きを持った人たちの活動が目立つ。しかし、クリエイターとしてのスキルを生かしたプロボノ活動を実際に行ってみたことで、手応えを感じているという。

 ライトパブリシティ クリエイティブディレクター/コピーライターの山根哲也氏は、「僕たちクリエイターは、自分よりもスキルが高い人を見上げればキリがなく、自虐的になってしまいがち。でも世の中には、僕たちが当たり前にやっていることでも実はすごく必要とされていることが往々にしてあると感じた。プロボノという面では、自分たちが持ちうるスキルを積極的に共有していくことで、還元できることも多いと思っています」と述べる。
 
ライトパブリシティ クリエイティブディレクター/コピーライター 山根哲也氏

 実際に、ライトパブリシティがプロジェクトをスタートさせるまでは、個々の店でコロナ対策を告知するためのポスターを手書きする行動が、格式高い老舗でもよく見られていた。その代わりに当プロジェクトのポスターを掲示することで、銀座として統一されたブランディングが行えるようになる。

 また、今回の活動を通して、近年希薄になりつつあったライトパブリシティと街との関係性が再び強固になるといった収穫もあった。「今後リモートの機会が増えるとはいえ、どういう空気感の街で仕事をしているかが、クリエイティブに少なからず影響する。銀座の街と距離感を近づけられたのは良いことだと考えている」と山根氏。長期スパンでのプロジェクト運営を考えるにあたり資金調達面などにまだ課題はあるが、持続可能なシステムにできるよう、今後もやり方を模索していく。

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