RYUKYU note #05

知る人ぞ知る、沖縄高級ホテル「百名伽藍」。広告費かけず、数年先まで予約が埋まる理由

前回の記事:
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 沖縄県は土地柄や歴史的背景に本土と大きな違いがあることから、ビジネスの進め方も従来の方法では、うまくいかないケースがあります。連載「RYUKYU note」では沖縄で活躍する経営者やマーケターをバトンリレー形式でインタビューし、そのサクセスストーリーの裏側にある秘話や、沖縄ならではの戦略や課題、未来の成長に繋がるストーリーをひも解いていきます。

 第5回は、沖縄県南城市に位置するラグジュアリーホテル「百名伽藍(ひゃくながらん)」を経営するジェイシーシー(以下、JCC)の代表取締役社長・渕辺俊紀氏が登場。街の飲食店として始まり、現在ではホテル事業のほか、海外貿易、ブライダルなど6つの事業を展開するまでに成長。同社が沖縄を舞台に急成長した背景や戦略などについて聞きました。
 

JCCの成長エネルギーを生み出す源泉とは?


――JCCと言えば、ラグジュアリーホテル「百名伽藍」の運営会社として有名ですが、その始まりは飲食店だったと聞いています。どのような経緯で、創業されたのでしょうか。

 私の父が1993年に「わだや」という和食のお店を引き継いだのがスタートです。それまで父は沖縄で「雪塩ちんすこう」で有名な南風堂の専務をしていました。南風堂は父の兄が経営しており、父自身は起業の経験も外食企業に勤めた経験もないにもかかわらず、45歳で起業したんです。

 それ以来、ずっと大事にしているのは「沖縄文化を広く、深く、正しく、全世界に向けて発信する」という理念です。その実現のために、外食に加えてホテルや海外貿易、ブライダル、食品製造など、食に関連した6つの事業体を展開しています。

 沖縄文化を発信するだけでなく、発信した先々で知り得た新しい文化を沖縄に持ち帰ることも大事にしており、それを沖縄の人に紹介して良い意味で文化を融合させて、また新たな沖縄文化として醸成させて発信します。その循環こそが、私たちの成長エネルギーになると考えているんです。
 
ジェイシーシー 代表取締役社長 渕辺俊紀氏

――飲食店からホテルまで、どのようにビジネスを拡大したのでしょうか。

 飲食店の次に始めたのは、健康食の宅配事業です。もう25年ほど前になりますが、お店に通ってくれている糖尿病のお客さまから、カロリー制限食のお弁当などの要望を受けて、宅配サービスを始めたんです。そのうちに病院食や学校給食、デイサービス、独居老人の方などからも委託を受けるようになり、現在は、そのサービスが「わだや健康食宅配」として残っています。

 その後、しばらくは飲食を中心に展開していましたが、2012年にホテル「百名伽藍」をオープンし、同時期に国際通りにもビジネスホテルを他社からご縁があり引継ぎ、本格的にホテル事業に参入しました。

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