RYUKYU note #05

知る人ぞ知る、沖縄高級ホテル「百名伽藍」。広告費かけず、数年先まで予約が埋まる理由

 

「沖縄文化の発信」経営理念にこだわる理由


――コロナ禍の今、最も注力されている事業は何でしょうか。

 宅配と海外貿易です。百名伽藍も、“三密”とはかけ離れたホテルの部類に入ると思うので、今後も力を入れていきたいと考えています。

 海外貿易事業は、国際通りの飲食店に訪れるインバウンドのお客さまと話しているなかで、「こういう食品を地元のスーパーでも買いたいから、食品工場を持っているなら製造して出さないか」とお声がけいただいたことがきっかけです。沖縄文化を発信するという企業理念にもぴったりなので、挑戦してみようと思いました。

 現在は食品関係であれば、何でも輸出しています。沖縄そばやアグー餃子など、当社の食品製造部でつくっている商品のほか、京都の果物や三重の伊勢海老なども出しています。

 アジアでは、日本産というブランドに強みがありますが、飽和しているのも事実。そこで、次は東南アジア以外の国などにも目を向けて、距離が遠ければ遠いほど、ビジネスチャンスがあると考えているところです。



――これまでに6つの事業を展開されていますが、参入する領域は毎回、沖縄の文化を発信するという理念に基づいて決めたのでしょうか。

 そうです。それは、これからも変わらないと思います。理念をつくってから非常にやりがいを感じられるようになりましたし、会社としても一番の成長エンジンになると考えています。

 私自身は沖縄生まれの沖縄育ちですが、私の父は鹿児島県出身。家族でよく話すのは、鹿児島県出身でありながら、沖縄の祖国復帰の立役者となり、名誉県民賞をもらった山中貞則先生。また、京セラの稲森和夫さんも鹿児島県出身ですが、沖縄セルラー電話をつくったときに、沖縄県に利益が落ちる仕組みにしています。我われも鹿児島県出身として、沖縄で事業をしている以上は、そうなりたいと強く思っているんです。
 

百名伽藍が目指すは、日本のシンボリックな場所


――渕辺さんご自身が、経営者として一番の強みだと思うのはどこですか。

 すごく好奇心が旺盛なところでしょうか。いろいろな方からお話を聞くことが好きで、会議や来客対応以外は会社のデスクにいるのが嫌なんです(笑)。だから、ずっと動いていますね。

――最後に、今後の展望をお聞かせください。

 百名伽藍は、実はまだ長期計画の一部が完成した段階で始まったばかりです。質や内容をさらに魅力あるものに磨き上げ、日本を代表するような観光地にしたいと考えています。

 理想はフランスの世界遺産「モンサンミッシェル」。名前や建物は有名ですが、多くの人がフランスのどこにあるのか、よく知りません。同じように百名伽藍も「名前は知られているけれど、日本のどこにあるかは分からない、調べてみたら沖縄だった」といったシンボリックな存在にして、沖縄を世界に売り込みたいと思っているんです。

 あとは、企業として強かに、観光だけではない事業の柱を数本立てて強くしていきたいと考えています。
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