[Agendaスペシャル] スポーツ・スポンサーシップの幸福なカタチを探る #07
JALがスポーツ協賛を強化する理由【東京五輪 インタビュー】
2018/07/03
- オリンピック,
- JAL,
- スポーツマーケティング,
課題はアクティベーションの活性化
-スポーツへのスポンサーに関わる社内体制について教えてください。
中山 社内関係部との連携が不可欠ですが、東京2020オリンピック・パラリンピック推進部には9人、宣伝部 運営グループには兼務も含めて6人おります。
-現在、どのぐらいのチームやアスリートをサポートしているのでしょうか。
中山 宣伝部が窓口になって協賛し、主に渡航のサポートをしているのは、競技団体・個人選手含めて約60件(競技団体:約40、個人選手:約20)になります。現役のアスリートだけでなく、たとえば元・プロ野球選手の松井秀喜さん、元・プロゴルファーの宮里藍さんなどOB・OGも含まれます。長いお付き合いも多く、こうしたご縁から、当社のアクティベーションに参加いただくこともあります。
-現在のスポーツスポンサードにおける課題は何でしょうか。
中山 やはり、協賛効果を最大化するためのアクティベーションの活性化が課題です。世の中的にスポーツが注目され差別化が難しい中では、ロゴ掲出といった旧来からある活動だけでは不十分であり、競技団体や選手と一緒になって、私たちのメッセージを伝えていく場をどれだけ生み出せるかが大事と考えています。
まだ実現できていませんが、たとえば機内ではご搭乗時にご覧いただくマナービデオやエンタテインメントプログラムのコンテンツへの出演なども視野に入れています。
阿川 その流れでは、2018年4月に当社としては初めてのアスリートを雇用し、三段跳びの山本凌雅、女子短距離走の土井杏南の陸上選手2名が入社しました。目的は、インナー向けのコミュニケーションです。当社のグループ社員3万3000人にスポーツ、特に東京2020大会への認知を高め、機運を盛り上げてもらうためには、社内にアスリートがいることがとても大事なのです。
-社員向けのインナーコミュニケーションが目的というのは、意外です。
阿川 これはロンドン大会やリオ大会での他企業の取り組み事例を踏まえて、行き着いた取り組みです。オリンピック・パラリンピックのスポンサー企業であることにより、社員がそのメリットを何らかの形で享受・共有することができれば、社員は一体となり、「いい会社で働けて良かった」、と思うことができます。その点で、社内にアスリートがいることは一体感を高めるために非常に効果的なのです。
また、全国の社員の中に「JALスポーツアンバサダー」が280人います。東京2020オリンピック・パラリンピック推進部でももちろん彼らの活動をサポートしますが、あくまでJALスポーツアンバサダーは自発的な集団です。彼らが全国に自発的な小さな渦をたくさんつくり、一緒にオリンピック・パラリンピックを盛り上げていければと考えています。
–最後に、今後の展望について教えてください。
中山 最初に申し上げた通り、私たちが強化していきたいブランディングの方向性とスポーツの親和性は高い。そこでJALと言えば、スポーツに力を入れていて良いイメージの企業だよね、と感じてもらえるように、宣伝部ではスポンサー認知拡大や単なるロゴ掲出に留まらない世の中も巻き込んだアクティベーションに力を入れていきたいと思っています。
阿川 東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会のオフィシャルスポンサー企業は60社を超えています。JALはそのうちの一つですが、2020年が近づくにつれ、多くのスポンサー企業が様々な形の宣伝活動、マーケティング活動、CSR的な事業を行っていくことになります。我々の目標は、JALが人々の印象に残る活動をして、大会が終わったときに「スポンサー企業ってたくさんあったけど、JALが一番良かったよね」と思ってもらうことです。
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