ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #20
サイバーエージェントと、スマートニュースで学んだ「ファン目線」の大事さ
2020/10/07
売上がなければ、心血を注いだプロダクトも消えてしまう
徳力 なるほど。その頃から、自分もやってみることで、お客さん側の視点に立つということをされていたのですね。
山崎 はい、めちゃくちゃしています。
徳力 でも、普通なら「そんなことやっている暇があったら、分析しろ」ってなりがちじゃないですか。
山崎 そうかもしれません。ただ、僕の家は常にレコードが流れているような環境でしたし、僕自身もエンターテインメントが好きだったので、何かにのめり込んで情報をインプットして、そこからアウトプットするのが得意なのかもしれません。
徳力 なるほど。ゲームのデータ分析をしながら、自分自身も楽しむというバランスが良かったんですね。ソーシャルゲームのデータ分析をしている人の中で、マーケティングができる人はおそらく少ないと思うのですが、山崎さんの場合はそれができているのは、なぜですかね。
山崎 結局、プロダクトは、売上がないと潰れてしまうんです。会社としては、利益を出さないといけないわけで、いつまでにどのぐらいのユーザーがいて、売上がなければ、撤退するというラインが決まっています。
それは仕方がないことですが、キャラクターを描くデザイナーやゲームをつくってきたエンジニアは心血を注いでつくっているので、それがなくなってしまうときは、まるでチームが葬式のような空気になります。
それは本当に心が痛くて、もっと自分にスキルがあったらこんなことにはならなかったと思って、悔しかったこともありました。
徳力 普通のデータアナリストだと、事業から一歩引いた解析屋さんになりがちですが、山崎さんはプロデューサーの横にいたこともあって、その気持ちがのりうつったのかもしれませんね。
山崎 はい、結構ミーハーなので、テンションがうつってしまうのはあると思います。経済が回らなければ、優れたプロダクトも簡単になくなってしまうという強迫観念は、スマートニュースというわりと基盤が強い会社にいたときも、毎日持っていましたね。