ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #20

サイバーエージェントと、スマートニュースで学んだ「ファン目線」の大事さ

 

デジタルマーケティングでも「ファン視点」で活躍


徳力 ポジションは、マーケティングですか。

山崎 はい。僕がインハウスで映像制作をしながら、デジタルマーケティングをやってみようという感じでした。

そこでGoogle出身の望月優大さんに出会い、デジタルマーケティングの基礎を教えてもらいました。そこに、マーケティングディレクターの松岡洋平さんを加えて、3人で動いていたのですが、松岡さんが退社され、望月さんが違うミッションを担当しチームを離れ、そのあとに西口一希さんが入社されました。

徳力 西口さんが来られたのは、山崎さんがスマニューに入ってどれくらい経ったころですか。

山崎 1年ぐらい経っていたと思います。当時の僕は、広告のコンバージョンよりも、スマニューで何が見られたらユーザーに楽しんでもらえるかばかり考えていました。これは会社から与えられたミッションではなく、勝手にやっていたことだったので、半分、広告営業のような動き方をしていましたね。

徳力 いわゆるデジタルマーケティングをしていた時間は、そんなにないのですね。

山崎 いえ、わりと大きな額をひとりで回していました。でも、そのアプローチはちょっと変だったかもしれません。

例えば、ユーザーが出かけようと思ったとき、傘を使うかどうかの判断に天気予報を見たり、できるだけ雨に濡れないルートを探したりするために乗り換え案内や地図を見たりしますよね。

それならば、そうしたメディアに、スマニューの天気予報機能を打ち出した広告を出せばいいと考えるなど、外部要因に応じてディスプレイ広告の出稿額を増減するということを結構していました。

徳力 山崎さんは、やっぱりエクセルに染まらない素質、つまり数値だけを見ない人ですよね。おもしろいな。



山崎 実際、それで結構、数字が伸びていたんですよ。台風が来たら、その移動と同時に、天気面のCPCを上げてみたりして。

徳力 データを分析しながら、人間の心の動きまで考えるクセが身についているんですね。

山崎 そうですね。スマニューはディスカバリーという概念を大事にしていて、ユーザーの興味のありそうな記事ばかりを流すのではなく、興味はなかったけれど読んでみたら視野が広がったという体験を重視しているので、数字を伸ばすことと、ユーザーに好きになってもらうことを同時に進めたいという思いはありました。

徳力 スマートニュースの鈴木健さんからの影響に加えて、サイバーエージェント時代に、鈴木おさむさんからも、いろいろなものを吸収しているのかもしれませんね。

山崎 はい、鈴木おさむさんの影響は、大きいですね。「お前はオタクなんだから、ファンのことだけを考えて仕事しろ、企画しようとするな」と言われました。クライアントの動画を制作するときも、「受注を取るという発想ではなく、そのファンが喜ぶことだけを考えろ」と。

徳力 山崎さんは、オタクなんですか。

山崎 はい。ハマりやすいんで、ミーハーでもありますね。

徳力 なるほど。そこが、今の社名I am your fan(私はあなたのファンです)にもつながってくるんですね。

※後編 「スマニューで西口一希氏の部下に。山崎佑介氏が得た、視座の高さとPLへの覚悟」に続く
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