ミレニアル世代の旗手たち 徳力基彦インタビュー企画 #21

スマニューで西口一希氏の部下に。山崎佑介氏が得た、視座の高さとPLへの覚悟

 

PLを背負う覚悟で、広告出稿の目的を意識する


徳力 デジタルマーケティングとマス広告の両方を経験して、現在のマーケティングの課題だと感じているところはありますか。

山崎 広告を打つときに、最初にメディアの選択からするのはおかしいと思います。例えば、クーポンという体験をいかに届けるかを主題にした場合、本来は、テレビとデジタルそれぞれにどのような役割を持たせるのかを議論すべきです。なので、僕はテレビとデジタルをあまり分断して考えたことがないですね。

徳力 初めからメディアを分断して考えている時点で、間違っているという話ですよね。



山崎 はい、すごく違和感があります。あと、テレビの広告枠を売る仕事をしている人も、意外とテレビを見ていないと思います。

例えば、「ニュースアプリのCMだから、ニュース番組に入れましょう」と言われて入れても、全然伸びないんですよ。そこで番組をよくよく見てみたら、朝の7~9時は固めのストレートニュースが多く、視聴者は朝の忙しい時間帯に家事をしながら流し見しているので、今すぐダウンロードできないんです。

一方で、同じ朝番組でも時間帯が10時を超えると、情報バラエティのネタが増えて、視聴者の主婦も子どもを送り出した後に少しリラックスして見ていたりするので、「今すぐダウンロード」というメッセージが響くんです。

それに番組によっても、視聴態度が違います。スマートフォンを片手に流し見している番組もあれば、何ももたずに集中して見ている番組もある。だから僕は、広告メニューや出面よりも、どのような体験の中で広告が出るかをすごくチェックしますね。

徳力 なるほど。どうすれば山崎さんのような思考が身に付くのでしょうか。



山崎 単に会社から預けられた予算を使うという意識だったり、テレビCMをつくること自体が目的になったりするとダメですね。最終的には、PLをしっかり背負うという覚悟が必要なのだと思います。

徳力 山崎さんは、自分の会社をつくったわけですが、今後はどうされていくのですか。

山崎 何をするかよりは、何を大切にするか、で会社をつくってしまいました。ファンをキーワードに何にでもチャレンジするつもりです。現状はテレビCMのお問い合わせが多いですが、雇用形態はこだわりないので、ご縁あれば、またどこかの会社に入れてもらおうと思っています。

徳力 そうなのですね。次の展開を楽しみにしています。また、お話聞かせてください。今日は、ありがとうございました。

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