マーケティングの現場で起きているデータ分析時に陥りがちな罠 #03
マーケティングの「数理モデル」の理解が、ビジネスを飛躍的に成長させる
マーケティングにおける「数理モデル」を理解する
根本となる原因を把握するために、私は数理モデルを理解するようにしています。これはP&G在籍期間の15年のうち6年以上、数理モデルを専門にする部署にいた経験から来ています。数理モデルの作成含め、ほぼ全てのカテゴリーを、私とチームの何人かで担当していました。
マーケティングの仕事は、売上・利益の最大化だと思っています。その中でP&G時代に学んだ基本の型は、以下のようになります。
この型は、あくまで消費財を念頭においてつくられていますので、ビジネスモデルが変われば、特に上から3段目と4段目は変わります。まずは、この基本の型を整理することから始まります。ポイントは次の7つです。
1.まずはビジネス課題を整理します。目的は利益、もしくは売上、利益率か。そのビジネス課題によって、有効な打ち手が変わります。
2.次に実際の利用者目線(P&Gで言うと消費者目線)でKGIを可視化します。消費財で言うと、購入者数・購入頻度・購入個数・金額です。例えば自動車の場合、購入台数の代わりに支払う金額、特にオプションなどが重要になるかもしれません。同じ利用者目線でも、検索回数などはプリファランスに影響がある行動指標として認識しているため、まだ影響はありません。
3.複数のビジネスモデルや、ブランドを見てきた経験からいうとカテゴリー・ブランド共通の数理モデルだと思います。一方で、カテゴリーの特性により、それぞれの重みが違います。例えばパンパースでは病産院などでのサンプリングが重要ですし、SK-IIではCRMが非常に大切になります。
4.消費財以外でもこの考え方は有効です。N=1で有名な元スマートニュースの西口一希氏は、スマートニュースの使用頻度が低いことに着目し、頻度を上げるためにクーポンを組み合わせるというアイデアを思いつかれたそうです。
5.この後、各メディア施策やKPIなどがさらに付け加えられます。例えば、テレビは認知と購入前プリファランスに特に効くと考えられます。UGC(User Generated Contents)は購入後プリファランスを使って、まだ購入していない人への購入前プリファランスや認知率に影響を与えると考えられます。