マーケティングの現場で起きているデータ分析時に陥りがちな罠 #03

マーケティングの「数理モデル」の理解が、ビジネスを飛躍的に成長させる

 

さらにマーケティングで考えられる数理理論を加えていく


 6.バイロン・シャープの書いた書籍『ブランディングの科学』(朝日新聞出版)でもあるように、消費財では購入者数が特に売上という意味では大きな意味合いを持つと知られています。

 それに加え、「ダブルジョパディーの法則」などいくつかの法則を加えていくことで更に洗練されていきます。購入者数が増えることで、実はひとりあたりの購入頻度が増えるという法則で、カテゴリーを超えてその効果が実証されています。

 この法則を知っているか知らないかで数理モデルの組み方も変わりますし、極端な話、打ち手が変わります(ダブルジョパディーには逆の効果、すなわち購入頻度が増えることで購入者数もありうるのではないかと個人的には思っていますが、長くなるので割愛します)。

 7.そのほかにもアカデミックにはいろいろ実証された確たる理論があります。例えば「Order of Entry Model」と言われる理論があります。これは同じようなポジショニングの商品のシェアがどれくらい取れるかを予測する数理モデルで、非常にシンプルなモデルですが、洗濯用濃縮洗剤で実証したときのあまりの当てはまり具合に驚いた記憶があります。これらの理論を数理モデルに加えていくことでより洗練され、現実に即したモデルになっていきます。



 数理モデルのアプローチは、とっつきにくいかもしれません。ただ、私の経験上、自身の成長にもビジネスを伸ばす上でも有効な手段だと思います。

 書籍『確率思考の戦略論』(角川書店)を刀の森岡毅氏と共著された今西聖貴氏と、数理モデルの構築でご一緒したことがありますが、非常に短い間のプロジェクトにもかかわらず、自分の成長のターニングポイントだったと今でも思っています。

 こういった数理モデルを学ぶことは、時間はかかりますが、コストはかかりません。そして、自身の成長にもつながります。効率的にモデルを理解するためには、アカデミック(学術)の論文などを読まれることをお勧めします。

 より良い数理モデルを作成することで過去を因果関係で理解できるだけでなく、今後を予測するモデルに変換することができますし、日々出てくる新しいマーケティングでのバズワードも先のUGCのケースのように自分なりに解釈できるようになります。

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