RYUKYU note #06後編
沖縄「カヌチャリゾート」が、空港から離れていても人気を集めた独自戦略
2020/11/20
コロナ禍を経ても、大きな時代の流れは変わらない
――ご自身の経営者としての強みは、どこにあると思いますか?
あまり悩まないことですかね。悩んでも状況は変わらないので、こうだと思ったら、きちんと観察して自分の中で理屈を立てて行動する。でも、失敗も多いですよ(笑)。
2011年に電気自動車を導入したら、早すぎてヒットしませんでした。ピッチャーがボールを投げる前に、バットを振ってしまっていたんですよね。いくら理屈が合っていてもタイミングが合わなければ、ナイスバッティングにならないことを痛感しました。
――とはいえ、未来をうまく捉えていらっしゃいますよね。どのように情報を集めているのですか?
読書をする時間はあまりないので、NHK BSの「キャッチ!世界のトップニュース」を見ることでしょうか(笑)。あとは、日本経済新聞を読むくらいですね。
でも、大きな時代の流れは、そんなに変わらないと思っています。去年の今頃は、ラグビーのワールドカップが開催され、欧米豪から人がきて、試合の開催地で一日中ビールを飲んでいて、「これぞ消費文化だ」なんて言われていました。
その消費をさらに広げるはずだったのが、今年の東京五輪、来年のワールドマスターズゲームズ2021関西、4年後の大阪万博でした。これらは、コロナで一度リセットされてしまいましたが、日本に多くの人が来るという流れは変わっていないと思っています。だから、私がいま見据えているのは2025年です。
――最後に今後の展望を教えてください。
人の流れを基本とした経済圏の創出は、「沖縄21世紀ビジョン」で謳っていますが、私も同じ気持ちです。私はもっとインフラに投資をすれば、さらに発展できると考えています。
この5、6年の失敗は、とにかく観光客数を増やすことばかりをKPIにしたことにあり、結果的にキャパシティーを超えた観光客が押し寄せるオーバーツーリズムの状態を生んでしまっていたことです。
その問題もコロナによって変わってしまったけれど、冷静に考えると、コロナ前から沖縄には危機が迫っていました。観光客の数を増やせばいいという考え方から変えるべきタイミングがきていたんです。だから、コロナをきっかけに、やっと目が覚めた、と思った方がいいと思っています。
コロナによるダメージは大きいですが、考え方としては、そうやって何を得られたかを考えるほうが経営としてはプラスだと思っています。
- 他の連載記事:
- RYUKYU note の記事一覧