よなよな流「ファンベース・ブランディング」―ファンの熱狂をブランドの力に変える方法 #04

ファン度を高める、よなよなエール流「密着プレー」とは【ヤッホーブルーイング 稲垣聡】

前回の記事:
「よなよなエール」流、熱狂的ファンの力を引き出す4つのトリガー【ヤッホーブルーイング 稲垣聡】


 

ファン歴の長さとファン度の高さは必ずしも相関しない

 ヤッホーブルーイングで働いていると、顧客にお会いする機会が頻繁にあります。

 ひとつは、お客さまインタビューをはじめとするマーケティング・リサーチの現場ですが、それよりも多いのは、お客さまと学び・語らい・飲む機会です。

 数千人が集まる屋外ビールイベント「よなよなエールの超宴」や、醸造所見学ツアー(さまざまな部署のスタッフがガイドをします)、あるいは、都内に7店舗ある「よなよなビアワークス」のカウンターで隣同士になったお客さまなどなど…。

 その際にはいろいろなお話をするのですが、いつも意外に思うのが、そのお客さまが「どれくらいよなよなエールやヤッホーブルーイングのことを好きか」ということと、「どのくらい前からよなよなエールやヤッホーブルーイングのビールを飲用しているのか」の相関性についてです。



 きっと古株のファンの方だろうと思って話をしていたら、飲み始めたのはここ2~3年だったり、あるいはその逆で「昔から飲んでいたけれど、イベントに参加し始めたのはつい最近」という方もいらっしゃいます。

 私たちは、なんとなく、ブランドを長期にわたって使い続けた結果として熱狂的ファン(アドボケイツ)になると考えがちですが、実はそうとも言い切れないようです。逆に言うと、単にブランドを長期にわたってリピートしてもらうだけでは、アドボケイツの育成には不十分であるとも言えるのです。
 

試行錯誤の結果たどりついた、顧客との「密着プレー」



 熱狂的ファン(アドボケイツ)になってもらうには、とにかくスタッフが顔を出して、お客さまと直接コミュニケーションすることが重要なのではないか。そう考えて、さまざまな施策を実行してきたのが、ヤッホーブルーイングのやり方です。

 「宴」イベントでは、とにかくスタッフ総出でお客さまとともにビールで乾杯し、飲みながら語らい、仲良くなることを重視しているので、スタッフは裏方に徹するのではなく前面に出ていきます。

 年間2500人以上が来場する工場見学「よなよなエール 大人の醸造所見学ツアー」では、製造系、営業系、バックオフィス系など、あらゆる部署の有志スタッフがガイドを務めます。そこでは、決まったガイド内容だけでなく、各スタッフが自分なりのアレンジを加えてお客さまとコミュニケーションをしています。

 Eコマースの顧客対応においても、“おどろきレベル”の満足を提供する(このあたりはザッポスレベルの顧客対応を目指しています)ために、お客さまに寄り添ったコミュニケーションを行っています。

 社内では、これらのやり方を「密着プレー」と呼んでいて、お客さまの“ファン度”を高めるヤッホーブルーイングらしい手法として定着しています。
 

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