実務から見たビジネスマネジメント活用 #01

マーケターが学んでおきたい「オペレーションズ・マネジメント」とは何か

 

ビジネスマネジメントこそオススメする理由


 ソニーの橋本です。ソニーのエレクトロニクス商品のマーケティングおよび販売戦略を担うソニーマーケティングでマーケティングコミュニケーション領域に従事しています。

 デジタル領域を中心に自社のマーケティングプラットフォームの企画・構築をリードしており、自社が目指すマーケティングを実現できる環境を整えています。

 さて、マーケティングに携わる方の中で、自分のスキルを高めていこうと思われている方は、いわゆる広告や運用型広告、SNS、人によってはSQLなどのプログラミング言語を学んでいると思います。もちろん、それらの知識は必要です。実際、私もその領域の情報収集や勉強を欠かすことはありません。

 私がこれらの領域に追加して学ぶことをお勧めしているのが複数のビジネスマネジメントのコンセプト・概論です。

 なぜなら、これらを理解することで、事象を俯瞰して捉えて根本的な課題を見つけることや、これまでの業務経験から導く解決策とは異なるアプローチを取ることがでるようになるからです。

 そこで、この連載ではマーケティングにおいて活用するとパフォーマンスが上がるビジネスマネジメントのコンセプトをご紹介していきたいと思います。
 

マーケターなら把握しておきたいオペレーションズ・マネジメント




 オペレーションズ・マネジメントとは、企業が製品やサービスを提供するプロセスを把握し、その課題を見つけ、価値提供を最適化するためのオペレーション管理を行う取り組みです。

 ここでは、オペレーションズ・マネジメントの中でも実用性が高いプロセスデザインに焦点を当てて、その概念を説明し、実務への応用の仕方についてお話していきたいと思います。

 マーケティングコミュニケーション領域では企画の立案から施策の実行まで、多くの人や組織、ツールが存在します。どんなに戦略や戦術が優れていたとしても、オペレーションが確立されていなければ、コミュニケーション施策を円滑に実行できません。
 

オペレーションプロセスでのボトルネックとは?


 ボトルネックとは特定の工程の中で、効率が悪く問題となる部分を指します。

 例えば、モノを箱に詰めるオペレーションがあるとします。前提として、常に同じ工程を繰り返すものと考えてください。



 ひとりで「箱にモノを詰める」だけの作業があった場合、詰めるのに10分かかるなら、1時間で6箱詰めることができます。



 では次に、「箱詰め」の前に「箱を組み立てる作業」があって、箱を組み立てるのに20分かかっていたらどうでしょう。箱詰めは10分でできても、箱が20分に1個しかできないので、1時間に3箱しか箱詰めできません。



 さらに、「箱詰め」した後に「包装をする作業」があり、包装に5分かかっていたらどうでしょう。箱ができるのが20分に一個で、箱詰めは10分なので、1時間に3箱しか箱詰めできない状況には変化がなさそうです。

 もうお分かりになった方もいらっしゃると思いますが、ボトルネックは「箱を組み立てる工程」です。この工程が20分から10分に短縮できれば、一時間に6箱包装まで完了することができます。生産性が2倍にまで引き上がるわけです。

 では、次のようなケースでは、ボトルネックはどこでしょうか?

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