RYUKYU note #07前編
沖縄発のアロハシャツ「PAIKAJI」は、なぜ人気なのか
2020/12/16
イタリアの見本市で、ブランディングの必要性を痛感
―― 今ではしっかりとブランドを確立されていますが、具体的には、どのようにブランディングされたのですか。
私たちのブランドへの意識が高まった最初のきっかけは、東京ミッドタウンにポップアップショップを出店したときです。当時は東京ミッドタウンのオープン当初、感度の高いお客さまと出会う中でマーケティングの必要性を感じ始めました。
そして最大の契機は、その2年後にイタリアのフィレンツェで開催されるメンズファッションブランドの世界最大の見本市「PITTI UOMO(ピッティ ウォモ)」に参加したことです。そこには世界中から1000以上ものメンズブランドが集まり、それぞれが自らの世界観を輝かせていました。
その経験から単に良い商品をつくるだけでなく、着こなし方なども含めてビジュアルや文章でしっかり世界観を伝えなければ、ブランドを確立させることは難しいと痛感しました。
一般的にアロハシャツのコーディネートと言えば、「半ズボンにサングラス」というスタイルですが、それでは他のブランドと同じです。
そうではなく、メイドインジャパンの高い縫製技術が用いられ、かつヨーロッパのクラシックな装いにもフィットすることを伝えようと思いました。たとえば、ジャケットにも似合うことを伝えて、差別化していこうと考えたんです。
――高級志向のターゲットにシフトしていかれたタイミングですね。
はい。ですが、PRADAやGUCCIなどのハイブランドも夏には必ずアロハシャツを出しますが、それは1着10~20万円します。
そこには手が出ないけれど、2~3万円なら欲しいという人たちが、「アロハシャツを買うならここだよね」と太鼓判を押されるブランドになりたいと考えています。
ほかのアロハシャツブランドとの大きな差別化のポイントは、メイドインジャパンを掲げている点。銀座や青山の格式高いテーラーも納得するレベルの技術を習得しています。その背景には、日本の最南端の沖縄でも、日本産として変わらず高い縫製技術を持っていることを世界にアピールしたいという気持ちがあるんです。