RYUKYU note #07後編

ミッキーやガンダムともコラボ。沖縄発の人気アロハシャツ「PAIKAJI」の成長戦略

 

サスティナブルへの挑戦


――現在、特に強化されている取り組みはありますか。

 SDGsが掲げるサスティナブルの本質をきちんと具現化することですね。沖縄ではパイナップルが収穫できますが、その葉っぱを繊維に変えられるんです。

 もともとはフィリピンや台湾のパイナップルを使うのが主流でしたが、私は沖縄のパイナップルを使って、早ければ2021年の春夏シーズンに発表したいと思っています。

 サスティナブルを大事にしたい背景のひとつには、ハイエンドのターゲットから認められたいという想いがあります。一方で、もうひとつの理由もあって、今のアパレル業界は、世界的に良いものを安くつくって、たくさんの人に買ってもらおうという流れに、ツケが回ってきている状態だと思うんです。

 例えば、小さな子どもが奴隷のような扱いを受けながら縫製して生まれた服で、果たして本当に顧客満足につながるのでしょうか。

 一方で、サスティナブルに取り組みながら、適正な価格を追求すると、価格帯がどうしても高くなります。その価格に見合うだけの付加価値を付けるためにも、沖縄のブランドとしてパイナップル素材に挑戦しているんです。
 

デザインで日本を元気に


――これまでを振り返り、成功につながった一番の理由は何だと思いますか。

 沖縄のお客さまが応援してくれていることだと思います。PAIKAJIのブランドが擬人化されている感覚でしょうか。

 例えば、沖縄の商人は、「PAIKAJI」が銀座の一等地で展示されることを、あたかも自分が評価されたかのように感じている方が多いんです。
 
銀座・和光のウインドウディスプレイ

 沖縄の応援は、すごいんですよ。高校野球を見ていても、ほかの都道府県の10倍くらい応援していますから(笑)。



――最後に、今後の展望をお聞かせください。

 いずれは、デザインを資産とするデザイン経営をしていきたいと考えています。

 日本はデザインへの考え方が遅れているんです。以前、ヨーロッパのリゾートに行ったとき、何百何千というセンスのいいビーチパラソルがビーチに一定間隔で置かれているのを見て、ひとつのアートになっているように感じました。

 日本ではビーチパラソルをコストとしてだけ考えるので、ホームセンターで安く買って置いておけばいい、という感覚です。でも、それを続けていれば、いずれ、韓国や中国のリゾートに追い越されるでしょう。

 沖縄は日本の最先端のリゾート地だと思うので、率先してソフト面でのプラス要因をつくっていきたいと考えています。今や東京などの都会でもリゾート気分が味わえる空間がつくられるなど、リゾートというキーワードは欠かせなくなっています。そこを私たちのデザインが牽引し、日本を元気にしたいですね。
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