音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #22

音部さんが40歳の時に行っていたことで、今も活きている経験とは?

 

米国勤務と前後し、神戸大学で博士号を取得


 目標を掲げてからは、社内で「Friday Night Session」という自由参加のトレーニングセッションを行っていました。広告会社など外部参加者も含めて300人程度が参加されたと思います。結果的に、この活動を通して腕に覚えのある多くの次世代マーケターたちと深く知り合えたことは幸運でした。

 この経験は、私自身の経験や知識を豊かにしてくれたと思います。ここでのセッションが2冊の著作のもとにもなっています。いまの私に大きな影響を与えたことは間違いありません。最近でも適宜、現役P&Gのマーケターに戦略などのセッションをする機会があります。懐かしさと共に、持続的に役に立てる嬉しさを感じます。

 それ以外の活動としては、米国勤務と前後して、神戸大学で博士号を取りました。論文を提出するためには学科試験を修了している必要があるという条件は想定外でしたが、古典的な経営学書を読む良い機会だったと思います。



 いろいろな考え方があると思いますが、MBAも博士号も「締め切りを買った」という効果があったように考えています。

 そうでもなければ、絶対にしなかったような勉強をすることができました。もちろん、主要な意義は指導教官から洞察や視点をいただくことです。私の場合は、『マーケティングの神話』や『ブランド 価値の創造』などを執筆された石井淳蔵先生の薫陶を受けることでした。こうした経験が、今も私の活動に活きているのは間違いありません。

 残りの時間で考えれば、40歳ならあと60年あります。人生が75歳で終わっていた頃の15歳に相当するのですから、学び続けるのは大事なことでしょう。たまたまこの原稿を書いている最中に、立派なキャリアと併行して母校のMBAに通っている若い友人から論文の相談がきました。社会に出てからも、継続的に学びや研鑽を続ける時代になってきているのだと、実感することが増えたように思います。
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