横山隆治氏が語る、2021年の広告業界【展望】

 

横山氏からのマーケター、広告パーソンへのメッセージ

 ここまで色々な変化について語ってきましたが、総括すると2020年は課題点が明確になった年であったと思います。事業成績が悪くなった企業も多い中で、2021年はそれをどう立て直すかが見ものでしょう。

 こうした変化の中で、マーケターや広告パーソンはもう一度自分のスキルや知見の見直しをすることが大事になってくるはずです。何か特化したスキルだけを持っていればいいわけではなく、マーケティングやコミュニケーションの本質を勉強し直して、デジタルを使った新しい「プロセスのデジタル化」にどんなアイデアを修練させていったらいいかを自分なりに考えると良いでしょう。

 特に広告会社において、一番の武器は人材ですから、何をもって広告主に人材としての価値を提供できるかを考えることが大事です。マーケティングの本質を理解した上で、デジタルを統合したプランニングができる－そんな人材を育成するために、スキルセットの再構築を含め戦略的に何を勉強させて、勝負させていくのか、考えなくてはいけません。それを推進するのは、デジタルと現場の両方を理解している人でないと難しいので、場合によっては外部の力を借りてでも実行していくべきでしょう。
 
 そして広告会社にとって人材やスキルの育成以上に課題となるのが、クライアントと並走できる組織体制の構築です。これが上手くいかない原因のひとつには、デジタルやアナログ、組織内の上下、様々な要素が分離していることがあげられます。新しいサービス業としての体制をつくり直す必要が出てきています。

 なぜなら、今後は良い広告主がどんどん業績を伸ばして、インハウスで良い人材を自社で抱えるようになっていくと予想できるからです。並走して一緒に成長できなければ、広告会社はいらないものとして淘汰されていってしまうかもしれません。

 2021年は、企業のマーケターと広告会社が一緒になって、こうした議論ができるようになるといいですね。

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