実務から見たビジネスマネジメント活用 #03

マーケティングの打ち手が広がる「サービス・マネジメント」という考え方

 

サービス・プロフィット・チェーンを俯瞰して




 サービス・プロフィット・チェーンを俯瞰して、このフレームに自社の活動を当てはめていくと、このコンセプトの後ろには、複数のビジネス・マネジメント論が存在することに気づきます。

 一番理解しやすいのは、「外部・顧客」の領域です。ここは、まさに「マーケティング」と言えるでしょう。

 この領域では「STP」や「4P」などを活用したマーケティング戦略の策定、アクイジション計画の実行、顧客へのロイヤリティプログラムの提供などを考えていきます。いかに顧客を獲得し、満足度を高めていくかを考えていくわけです。

 「自社」の領域では、生産性の向上に向けては「オペレーションズ・マネジメント」、従業員満足においては、インセンティブ設計の観点から「ヒューマン・リソース・マネジメント」の観点が入ります。

 「オペレーションズ・マネジメント」においては、生産性を向上させるために、プロセス上のボトルネックを把握し、そのボトルネックを解消するための解決策を検討します。

 「ヒューマン・リソース・マネジメント」においては、従業員へのインセンティブ設計や従業員育成、人員配置など、競争優位性の高いサービスを提供するにあたって最適な環境・ルールを作ることを検討します。
 

サービス・マネジメントの視点はプロダクト・マーケティングにも適用できる


 ここまで紹介してきたサービス・マネジメントですが、製品を持つマーケターにとっても非常に有用な考え方だと私は思います。次のように、考え方を変えてみてください。



 例えば、「製品の販売」は、顧客とつながるきっかけで、その時点から製品を媒介としてサービス提供が始まると考えるのです。考慮しようと思うポイントが、自然と変化しませんか?
 

プロダクト・マーケティングから変化する視点




 「製品を販売する」というこれまでの考え方を「製品を通じてサービス(体験)を提供する」と変化させた際の、考え方の変化の例をいくつか挙げていきます。

 プロダクト・マーケティングでは、多くの企業でパーチェスファネルの図を活用してコミュニケーション戦略やタッチポイント戦略を考えていると思います。最終ゴールを、購入に置いているからです。

 それが、サービス・マネジメントの考え方を当てるとどう変化するでしょうか?

 「購入が最終ゴール」という考え方から、「製品の購入をきっかけに顧客にサービス(体験)の提供が開始される」と考えたり、「製品の購入はサービスの一部である」という考えに変化し、購入後に顧客に満足していただくような取り組みの必要性に気づき、それらを実行していくことになります。

 また、そのような顧客満足までを包含したマーケティングの取り組みを俯瞰するにあたっては、「パーチェスファネル」ではなく、顧客育成までを考えた「ダブルファネル」などを採用してそれぞれのマーケティングコミュニケーション活動を定義し、モニタリングしていくことになります。

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