実務から見たビジネスマネジメント活用 #03

マーケティングの打ち手が広がる「サービス・マネジメント」という考え方

 

KPIの持ち方も変わる




 顧客が提供されるサービス・体験に満足することで、サービス・製品への指名買いが起こり、再度購入される。そうした考え方に立つと、最終的な指標となる「売上」だけをKPIとして追いかけていてはなりません。

 売上だけでなく、「顧客が満足しているか」を測る評価指標を入れなければ、顧客基盤の維持に関係者の考慮がいかず、短期の売上を目的とした獲得寄りのコミュニケーションしか発信されなくなる恐れがあるからです。

 顧客にとって有用でない情報提供をし続けることで、顧客の満足度が下がり、オプトアウトが増加し、顧客基盤の安定的な運用にマイナスの影響を与えることになるでしょう。最終的に、高い獲得コストをかけ続けてでも新規を取りに行かなければ売上が構築できない事態になる可能性もあります。

 顧客満足度を測る指標は、アスキング調査を活用して取得することも可能ですし、顧客基盤からのオプトアウトで見ることも、関連する顧客の行動データで測ることも可能です。取りやすいもの、追いやすいもので設計するのが定石です。
 

オペレーションの考え方




 製品・サービスに限ったことではないですが、人は期待していた体験を超える体験をした時に高い満足感を感じます。では、「製品を媒介としてサービスを提供する」と考え、顧客満足を追求していくと、どのようなことが起こるでしょうか?

 例えば、正しく使用することでより効果が出やすい製品を提供していた場合、間違った使い方をしている顧客に対してアドバイスをしたくなることもあると思います。また、利用しているサービスを把握して、嗜好性の合う商品やサービスを提案して、より自社のサービスを楽しんでもらおうとすることもあるでしょう。

 このように、自社と顧客の理想の関係性を描いていくと、One to Oneのアプローチの実現が必要になることが多々あります。

 一方で、顧客に合わせたパーソナライズアプローチを人力で運用することは大抵の企業では不可能で、自動化させることを検討しなければなりません。その際は、既存のプロセスを可視化し、どのプロセスを自動化すると、望んだ取り組みがオーバーキャパシティにならずに実現できるか考えていきます。

――― ポイント ――― 
 このような取り組みは、既存の従業員のケーパビリティを超えた取り組みになることが多く、社員のラーニングや研修によるリテラシー向上も必要です。新しい学びの場を提供することで、モチベーションと生産性向上を狙うことも考えていくべきです。
―――――――――――
 

最後に


 今回は、サービス・マネジメントの考え方について触れていきました。製品を持つ企業のプロダクト・マーケターにとっても、視点を変える有用な考え方であることもご理解いただけたと思います。

 ぜひ、方向性策定の際や、課題解決の際にサービス・マネジメントの観点も考慮いただき、幅広い課題解決策の中からベストと思えるチョイスを選択いただければと思います。
他の連載記事:
実務から見たビジネスマネジメント活用 の記事一覧

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録