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ファミマ、サッポロの「ラベル誤表記」騒動から学ぶ3つの視点

 

考察3:誤表記は個別、具体的に判断するしかない


 幸い、本騒動はある種の美談で終わりそうだ。だが、一度は企業が「破棄されるべき商品」だと判断した商品が顧客の声によって「やはり販売する」に変わった。この点に、美談だけでは終わらないPR視点での懸念もある。
 
 【発売中止の発表(1月8日)】
 スペルミスを世に出す→クレーム(声)がくる→ブランドを毀損する。
 ←だから前もって回収する。

 【再発売の破票(1月13日)】
 「食品ロス」を世に出す→クレーム(声)がくる→ブランドを毀損する。
 ←だから予定通り発売する

 結局、想像しうる片方の声(前者であれば、スペルミスへのクレーム、後者であれば、食品ロスへのクレーム)を優先して、当初の判断を変えたに過ぎない。どちらの判断が正しいかは、一概に言えない難しい問題だったのだ。

 こうしたケースでは、自社のコミュニケーション戦略上の重要課題として、PR的視点から個別、具体的に判断していくしかないのが正直なところだ。なぜならば、本ケースは法律には違反する誤表記ではなかったからだ。これが、品質や成分表示に関連するミスだった場合は、また異なる決定が正しい判断とされていたことだろう。
 

最後に:物語性が必要になる

 コロナ禍で昨年のビール販売量は、大幅に落ち込んだ。ビールの味やブランドに興味やこだわりを持つ人も減っているという印象がある。今回の騒動がなければ、私もこのビールを話題にしなかっただろう。販路と価格だけでなく、商品やプロモーション上でも差別化が難しい商品を爆発的に売るためには、何か強烈な物語(ストーリー)性がないといけない。

 私は最初に「表記を間違えて発売中止」という一報を聞いたとき、虚構(フェイク)系のニュースではないかと思った。そして、その後「やはり発売する」という報道があり、これは消費者から「“マッチポンプ”を仕込んだのではないか」と疑われはしないかと炎上を懸念した。しかし、私の予想は外れ、一連の騒動は、純粋な誤表記でサッポロビールやファミリーマートが仕掛けたキャンペーンではなかった。
 
 今回は期せずして “有名商品”となったが、本来は販売前にこのくらいインパクトのある物語(ストーリー)展開が企画されるべきだろう。2月2日の発売以降、爆発的に売れることで、その“伏線”が回収されることを願っている。
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