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ファミマ、サッポロの「ラベル誤表記」騒動から学ぶ3つの視点

 

スペルミスによる発売中止を覆して発売


 1月8日、サッポロビールは、ファミリーマートと共同開発したビール「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」のパッケージデザインに誤表記があったとして、発売中止を発表した。本来は「LAGER」となるべき箇所が「LAGAR」となっていた、つまりEとAのスペルミスだ。
 
「サッポロ 開拓使麦酒仕立て」

 ところが、5日後の1月13日には、食品ロスへの懸念が多く寄せられたとして、「発売中止の決定を取り消す」と発表した。この企業姿勢は評価され、両社の対応は概ね好意的に受け止められている。そこで今回は、この騒動をPR的な視点から分析し、企業のPRやマーケティング活動への影響を考えてみる。
 

考察1:ソーシャル上のクチコミがますます重要に


 最初に考えたいのは、企業行動に影響を及ぼすクチコミの浸透の速さと影響力の大きさだ。8日に販売中止の発表を行った時点で、社内ではすでに商品回収に向けた様々な対策が行われていただろう。

 ところが、発表と同時に食品ロスへの懸念が広がり、ハッシュタグ「#EじゃなくてもAじゃないか」がインターネット上に広がった。さらに、販売中止の撤回を求める署名運動まで登場した。

 ネット世論で怖いのは、企業に不祥事が発生すると、議論すべき本質とは異なる方向にバッシングが飛び火し、あらゆる方向に騒ぎが派生することだ。両社の社内ではソーシャルリスニングに細心の注意が払われていたと想像する。本ケースは悪意がないことは明白で、単純ミスだったことがプラスに働いた。加えて、両社の長年の企業姿勢が消費者から信頼を得ていたことも大きい。

 インターネット上の食品ロスへの懸念の声は、サスティナブルを重視する昨今の世論に乗る形で、企業の判断に大きな影響を与えたのだ。
 

考察2:社会的に美しいデザインか?


 次に、浮き上がった課題について考えたい。今回の騒動で試されたのは、「デザイン(正しいスペル)と食品ロスでは、どちらが(社会的に)美しいデザインなのか?」という点だ。

 以前であれば、商品上の誤記載が市場に出回ったならば、それだけで大きな非難を浴びただろう。だが、今回世論は、商品デザインの美しさ(正しさ)よりも「企業の行為の(社会的な)美しさ=ソーシャルデザイン」を関心事として選んだ。

 つまり、昨今は「食の安全」「食品ロス」「取引の公平性」「製造者責任」など、企業を取り巻く全てのデザインが美しくなければ、どんな“イケてる”ブランドも高く評価されないのだ。

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