音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #24

CMOを目指すマーケターに、必要な「経験」とは何でしょうか?【音部で壁打ち】

 

共通言語の構築が組織づくりに欠かせない訳


 そうした組織をつくるには、共通言語をつくり、それを敷延させ、プロセスを標準化し、経験が知識として収集され、蓄積され、流通されやすい仕組みをつくる必要があります。プロセスの標準化というと、「イノベーションが発生しにくくなる」とか「クリエイティビティが失われる」といった心配をする人も出てくるかもしれません。

 古い話ですが、経済学者のヨーゼフ・アロイス・シュンペーター氏曰く、「イノベーションとは新結合」だと定義しています。であるならば、多様な結合が可能になるよう、接合部分を統一しておいたほうがイノベーションは発生しやすくなります。では、この接合部分とはなんでしょう。概念をつなげる部分ですから、すなわち言語です。オープンイノベーションなどの手法が出てきているので、社外でも通用する普遍的な共通言語を持っていることは、大きなアドバンテージになるでしょう。



 また、クリエイティビティは制限によってもたらされるという考え方もあります。ひろい駐車場のような制限のない空間で「好きにバイクに乗ってください」と言われるよりも、「鈴鹿サーキットを3分で走ってください」と言われるほうが、創意工夫が必要です。

 実際に使える資源も目的も、ほとんどの場合は、駐車場ほど自由度の高いものではありません。制限の中で、戦略的に(≒目的と資源を意識して)クリエイティビティを最大化する技術は、雇われのプロフェッショナルには不可欠です。そのためには、ノウハウや道具は実績のある、洗練されたものをもっていると効果的で効率的です。経験的にも、共通言語と標準化されたオペレーションの確立は、いずれのCMO型であっても重要なスキルです。

 自身の帰属する組織がナポレオン型か、モルトケ型か、どちらのCMOタイプを必要としているか、考えてみることは大事な示唆になるでしょう。また、自身がどちらを得意としているかを理解することも助けになりそうです。スイッチピッチャータイプの人もいるので必ずしも決め込む必要はありませんが、ある程度の一貫性をもつことで、経験値を蓄積し、成長しやすいように思います。

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