音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #26

本当に機能する「共通言語」とは何か? 組織で構築する際のポイント【音部で壁打ち】

 

言葉の定義についての注意点


 戦略、マーケティング、ブランド、インサイト、パーパスなど概念的、抽象的でありながらビジネスの会話に頻出する重要語句は、客観的・論理的で頑健な定義を使うべきだろうと思います。標準的なアカデミアの知見が役に立つこともあるでしょう。

 「自分の言葉で語れることが重要だ」という訓示を聞くこともあります。誤解されがちですが、それは飲み屋で人生論を語るように、個々のメンバーがそれぞれ自分で定義する、ということではありません。同じ意味を理解しつつ、自分ゴトとして解釈し説明できる、ということです。

 たとえば、よく耳にするのは「マーケティングとは、顧客を知ることである」などといったフレーズです。否定しようがなく正論で、普遍的です。しかも間に「とは」などと入っているので定義風ですが、これは定義ではありません。

 顧客を知ることはマーケティングにとって重要ですが、マーケティングには顧客理解以外の活動もたくさん含まれていることを思い出せば、これは定義ではないと分かります。こうした定義風のモットーや記述はあちこちで耳にしますし、金言や真理であることも少なくありませんが、共通言語の構築においては注意が必要です。金言は定義ではありませんから、そのまま共通言語化するとうまく機能しません。

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