実務から見たビジネスマネジメント活用 #04

ビジネスの意思決定が格段に速くなる、「要素分解」と「四則計算」

 

ビジネスにおける四則計算の必要性




 さて、要素の分解ができたあとは四則計算です。

 さきほどの要素分解のトピックで説明した通り、ビジネス指標は基本的に四則計算の集合体です。そのため、四則計算をクイックにできれば、「意志決定の場」で議論を深めることができ、「持ち帰って検討」する時間が省けて実行まで速やかに行うことができます。

 例として、販売促進策の検討の場を想定します。
 
 前提条件
 商品価格:1,000円
 原価:500円
 通常時販売数量:100,000個

 販売促進策の売上効果見込み
 売上数量30%増

 販売促進策費用
 5,000,000円

 この場合の利益の計算は以下のようになります。
 
 販売数量(増加分):30,000個
 
 売上高(増加分):30,000,000円

 原価(増加分):15,000,000円

 利益:10,000,000円
 ※15,000,000円(増加分)-5,000,000円(販売促進策費用)

 この経済計算を基に、社内の意思決定の場に持っていったとしましょう。

 そこで、ある人物から「その販売施策による売上増は実現性が高いのか?悲観的に見積もった場合はどうなんだ?」と質問がでたとします。

 その際、「確かにおっしゃる通り、リスクもあると思いますので、もう一度持ち帰っていくつかプランを考えてきます」とも返せますが、その場で四則計算ができるだけで、次のような発言も可能になります。
 
 発言内容:
 「仮に売り上げ増を30%から15%に置き直しても、利益は250万円出ますので今回の案を進めさせてください。」

 販売促進策の売上効果 悲観的見込み:
 売上数量15%増

 販売数量(増加分):15,000個
 売上高(増加分):15,000,000円
 原価(増加分):7,500,000円
 利益:2,500,000円
        ※7,500,000円(増加分)-5,000,000円(販売促進策費用)

 実際はディスカッションになるので、会話は次のようになると思います。

 「はい。仮に売上増を30%の半分の15%に置いてみます。そうすると、販売数量増は15,000個になりますので、売上高の増加は15,000,000円。原価は50%なので7,500,000円。今回の販売促進策のコストが5,000,000円ですので、2,500,000円上がります。悲観的な見込みでも利益出ますので、この案、進める方向でいかがでしょうか?」

 「悲観的に見ても利益が出るなら良し」と承認され、販売促進策が実行されることも、悲観的シナリオを想定し「利益額が少ないため他にリソースを割くべき」と承認されないこともあると思います。ただ、このような四則計算ができたことで、早い判断ができたことをご理解いただけると思います。

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