実務から見たビジネスマネジメント活用 #04
ビジネスの意思決定が格段に速くなる、「要素分解」と「四則計算」
2021/05/17
要素分解と四則計算で判断が速くなる ケーススタディ
ここからは1つケースを挙げていきます。そのまま読んでいただくだけでも理解いただけると思いますが、ぜひペンをとっていただいて、一緒に取り組んでみてください。
ケース:営業現場における営業数値の追い込み議論
あなたは営業部に所属しています。あなたの年間の受注金額目標は12,000万円。期初から6カ月間で4,800万円の受注進捗でした。この実績に対してマネジメントから「目標に対して40%の進捗率だが下半期で60%やり切れるのか?それはどのくらい難しいことなのか?」とコメントがありました。どこまで掘り下げ、次のアクションにつながる会話ができますか?(この企業の月々の受注は安定して1,000万円です)。
① 要素の分解
今回の最終指標は受注金額のため、受注金額を次のように分解していきます。
1.年間受注金額=平均受注金額×12
2.年間受注金額=上半期受注金額+下半期受注金額
3.年間受注金額=上半期平均受注金額×6+下半期平均受注金額×6
2.年間受注金額=上半期受注金額+下半期受注金額
3.年間受注金額=上半期平均受注金額×6+下半期平均受注金額×6
② 目標と事実をあてはめる
今回は①の「3.年間受注金額=上半期平均受注金額×6+下半期平均受注金額×6」にあてはめて、下半期に必要な月間受注金額を算出します。
12,000万円=800万円×6カ月+1,200万×6カ月
この計算により、上期の平均受注額の1.5倍のペースで受注しなければならないことが分かります。まずは事実として、このレベルまでの回答はしておきたいところです。
その上で「何かの材料で達成する見込みがある」のか「達成は難しいのか。その場合はどの程度で着地しそうなのか」をマネジメントに伝える必要がありますが、どのように判断していくべきか、次のステップで説明します。
③ 着地に向けた数字を要素分解して数字をあてはめる
着地に向けた数字を具体化するには、改めて要素の分解をしていきます。
月間受注金額=商談顧客数(月間)×成約率×単価
上半期の実績を上記の式に当てはめると以下の通りでした。
上半期期中実績:
800万円(受注金額)=80(商談顧客数)×20%(成約率)×50万円(単価)
800万円(受注金額)=80(商談顧客数)×20%(成約率)×50万円(単価)
下半期に追加で獲得しなければならない受注額の400万円を分解すると以下の通りになります。
400万円(受注金額)=40(商談顧客数)×20%(成約率)×50万円(単価)
※成約率・単価は上半期と同様の水準と仮定
※成約率・単価は上半期と同様の水準と仮定
ご覧の通り、成約率や単価に変化が無いと仮定した場合、商談数は上半期の1.5倍こなさなくてはなりません。はたして現実的でしょうか?
それが現実的であればマネジメントに「上期に比べて1.5倍商談をやります」と宣言できるかもしれません。しかし、現実的にそのようなケースはあまりないでしょう。
その際は、分解した要素をかけ合わせて上半期の1.5倍を実現することを考えます。例えば商談数を1.2倍にして、成約率を同水準、単価を1.25倍上げるということです。
そうすると、マネジメントに対して「上半期の平均受注額の1.5倍のペースで受注しなければならなりません。といっても商談数を1.5倍にすることは不可能ですので、例えば商談数を1.2倍にして、成約率は据え置き、単価を1.25倍にするなどで上半期の受注額の1.5倍を実現するアクションプランを考えます。キャンペーンを打つ必要が出てくる場合もありますのでその際は相談させてください」といった形でマネジメントとの会話を一歩進めた形で終えることができると思います。
さて、ここで必要だったのは、1.5=1.2×1.25だけです。これくらいのレベル感の四則計算ができるようになるだけで、仕事が一気に進みやすくなるのを体感いただけましたでしょうか?