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創業112年ピップグループの初代CMOに久保田達之助氏が就任。目指すは、消費者起点のマーケティング・カンパニー

 「ピップエレキバン」や「スリムウォーク」など医療衛生用品を製造販売し、創業112年を迎えるピップグループ(フジモトHD)。新型コロナウイルス感染拡大という世界中が経験したことのない、健康の重要性をあらためて認識させられているなかピップグループのCMO(最高マーケティング責任者)を務めるのは、JTBやドクターシーラボでマーケティング職を歴任してきた久保田達之助氏。現役のCMOでありながら、大学で教鞭をとるという異色の久保田氏が、異業界の老舗企業を選択した理由やピップで実現したいこと、今後の可能性について伺いました。

久保田 達之助氏
フジモトHD 執行役員CMO ピップ㈱ 取締役 商品開発事業本部長
明治大学政治経済学部経済学科卒、慶應義塾大学大学院経営管理研究科修士課程修了。JTB、ドクターシーラボで取締役やマーケティング部門の責任者を歴任。明治大学や早稲田大学でも教鞭を取っており、実践のマーケティングを教える授業として人気講師。
 

危機感を持って、会社を変えようとする姿勢に共感


――2018年6月にピップの親会社であるフジモトHD執行役員CMOに就任しました。異業種からの転職ですが、久保田さんが同社に入社することになったきっかけを教えてください。

 きっかけは、ピップの社長(松浦由治氏)が「私に会いたい」と声をかけてくれたことです。ピップを消費者起点のマーケティングカンパニーにするため、マーケティングで実績があり、挑戦を続けているマーケターを探している、という話でした。

 ピップは、私も古くから知る企業で、社長直々のお話ということで、まずは会って話を聞いてみることにしました。当時、気軽な気持ちで会いに行きましたが、ピップが抱える課題やその解決方法などを熱心に話してもらい、私自身も「このようにしてみてはどうか」と提案するうち、しだいに意気投合していました。そして、その2日後には、フジモトHD社長の藤本久士氏と3人で大阪で会うことになり、とんとん拍子で話が進んでいきました。

 そこで、話をしているうちに、ピップの経営陣が「会社を変えたい」という強い思いを持っているのだと感じました。創業が100年を超える企業でも環境の変化に応じて、変革していかなければ、倒産する可能性がある。その危機感を常に持っていて、それに加えて人々の生活をよりよく変えようとしている姿勢に感銘を受けました。

 これまで経験したことがない業界にも非常に興味があったのも事実です。人生は1度きりなので、私が挑戦して楽しいこと、それが結果として社員や消費者に還元できることを大切にしたいと考えて、ピップに決めました。

――なぜすぐに、ピップ経営陣の考えに意気、共感できたのでしょうか。

 私がJTBやドクターシーラボで実践してきたマーケティングの手法である、消費者を起点とするマーケティングを駆使できる企業を、ピップが目指そうとしていたからです。

 消費者を起点とするマーケティングでは、消費者の反応をつぶさに見る必要があります。私は消費者の反応を見ることが楽しくて、仕方がありません。それをうまくピップのマーケティング戦略に生かせると思ったのです。
 

売るモノと売る場所の「選択と集中」




――久保田さんがCMOとして、ピップで実現していきたいことはなんでしょうか。

 商品の選択と集中です。当社には、200アイテムぐらい商品数があります。これからは主力であるピップエレキバン、ピップマグネループといった磁気関連商品、スリムウォークのビューティー関係、プロ・フィッツというスポーツブランド、その三つに集中していく予定です。

 次に、海外展開です。海外に力を入れる理由として、日本市場は今後、人口減少によって市場自体が縮小傾向になるからです。現在、ピップの商品は海外10カ国ほどで販売していますが、今後は中国、韓国、台湾に限定して投資をしていきたいと考えています。

――海外展開で特に力を入れる国や地域はありますか。

 中国です。中国の人口は日本の10倍あります。市場規模は大きいのですが、当社の商品の知名度はまだ高くありません。あまり知名度が高くない分、伸びしろは大きいと考えているのです。人が生活していく上で抱える健康の悩みは、どの国も変わりないと思います。日本への観光が盛んだった頃は、ドラッグストアでの大量買いが話題になっていたことを覚えている方も多いでしょう。

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