音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #28

キャリアに迷ったら、長期的に給料を高くすることを意識してみる【音部で壁打ち】

前回の記事:
「人が育成できない」のは生まれつきではない【音部で壁打ち】
 

マーケターはどうキャリアに向き合うべきか


【質問】

私は今、31歳で、小さい会社でデジタルマーケティングの仕事に従事しています。過去に管理職をしていましたが、人を育成する能力がないように思います。今後もマーケティングの道に進もうと考えていますが、「部下を持つキャリア」と「部下を持たないキャリア」、どちらに進むか考えています。音部さんに、選ぶためのアドバイスを頂けますでしょうか?

 (前編は、こちら)前回の「人材育成の能力と要諦」に続いて、今度は「キャリア」という視点からご質問にお答えしたいと思います。
 

「プランド・ハプンタンス」知っていますか?


 マーケターのキャリアについて考えるとき、「いいマーケター」の定義が必要なスキルを示すように、目指すべきプロフェッショナル像は、必要な経験を示すことでしょう。

 「この会社でCMOになる」というのもひとつの考え方ですが、「消費者にサービスを売る会社で、マーケティング部門長の職責をもつ」と少し幅をもたせて考えるのも悪くないアプローチです。

 前者のほうが明確で強い動機をもてそうですが、後者のほうがフレキシブルで前向きを維持しやすいかもしれません。

 キャリアや人材開発の領域には、「プランド・ハプンスタンス(planned happenstance)」という考え方があります。計画された偶然、といった意味です。キャリアの構築では、なかなか予定通りには行かないことが多く、偶然の要素がとても大きいので、偶然をうまく積み重ねましょう、という思想です。

 振りかえれば、私のキャリアもかなりの偶然とご縁に影響されてきました。どのブランドを担当したとか、誰が上司にいたとか、どの都市で働いたとか、誰が同期だったとか。偶然に左右されるなら、キャリアプランに幅をもたせてフレキシブルに設定しておくのは理に適っているかもしれません。

 とはいえ、完全に運を天に任せたり、行きあたりばったりにすればいいということでもなさそうです。なるようにしかならないけれど、なるようにはなれるのです。そのためには相応の努力も働きかけも意味がありそうです。やはり、ある程度の目的設定は役に立ちます。

 いずれ(5年後か、10年後か)自分はどうなりたいか。なにが起きたらうれしいか。なにを残せたら満足できそうか。あるいは、なにをすれば世の役に立てそうか。といったことを考えてみるのはヒントになることでしょう。どうなりたいのか分からないときは、中学生の頃に好きだったことを思い出してみるのも手です。

マーケターに役立つ最新情報をお知らせ

メールメールマガジン登録