マーケターズロード 鹿毛康司 #08

鹿毛康司氏が明かす、マーケティングで陥りがちな2つの罠

 

インサイトを見つける機会は生活の中にたくさんある


 インサイトを見つける機会はどこにでも転がっていると思っています。Twitterにもヒントを得る宝の山がたくさんあります。試しにご自分の仕事に関係するワードで検索してみてください。



 介護や医療でマーケティングをしている人は、例えば「介護」で検索してみてください。1分ごとに数十のつぶやきが書き込まれていきます。「介護を仕事をしていると利用者にイラッとするけど我慢する」「仕事以外で介護はきつい」といった生々しい声から介護保険、介護の制度への意見、会議施設のことなど、様々な立場の人たちが言葉を発しています。

 さらに、インスタグラムで「介護」と検索すると数十万の写真と記事があらわれます。介護の現場の写真と出来事をリアルにみることができます。

 それを発言している人の「個」をボタンひとつで深堀りもできます。そのつぶやきをした人は、どんなことを思い、どんな生活をしているのかなどが見えてきます。

 ビール、カメラ、高校入試、など、さらには商品名などの固有名詞などお好きに検索して見てください。そこには通常の調査にはない混沌とした人の言葉や写真に溢れています。それを眺めながら自分の心と相談しているとインサイトが発見できる時もあります。

 ソーシャルの世界はマーケターにとって新たに得た宝もので、これをいかに料理していくかは腕の見せどころです。デジタルだとかネットに強い若手に委ねるといった、そういう話では全く違うことがお分かりいただけたでしょうか。

 私は1日に数十分はこれらのソーシャルを通して、今日の生きている人たちを観察し心の会話をするようにしています。コロナや地震の時のように環境が一変した時は、私に様々なことを示唆してくれた恩義のある道具だったのです。

 「ネットやソーシャルはわからないから若者に任せる」というセリフがいかにマーケティングの仕事を放棄しているか。インサイトを見つけるというのは大袈裟な作業ではありません。ただし、「人」の研究をアナログ思考でやっていく「自分力」が試されることは確かです。

 ※第3回に続く

 *5月20日日経BPより、『「心」が分かればモノが売れる』が出版されました。インサイトのことをちゃんと書きました。よかったらご参考にしてください。私の大尊敬する糸井重里様も推薦していただきました。糸井さんの帯の言葉がこの本の全てのような気がしています。

糸井重里推薦

いちばん謎なのはじぶんである。

いちばん親しいのはじぶんである。

だったら、じぶんと語りあおう。

 
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