音部で「壁打ち」 – あなたの質問に答えます。 #29

音部さんが面接担当者として「マーケティングの素養」を見抜くためにしていた質問【音部で壁打ち】

前回の記事:
キャリアに迷ったら、長期的に給料を高くすることを意識してみる【音部で壁打ち】
 

「志望動機」はニーズの解釈である


【質問】

音部さんがマーケティング責任者を務めていた時、採用面接で何を確認していましたか?そして、どういう人材であれば、採用していましたか?

 私は採用面接では、ずっと同じ質問をしています。新卒や若い中途採用者の面接であれば、重視すべきは「いいマーケターになりそうな素養」や、「マーケティングへの向き、不向き」であると思います。なぜならスキルや経験は、入社後のトレーニングや実務で獲得すればいいからです。

 そして、そうした「素養」は、時代によってそれほど変わらないように思われます。また、同じ質問で何十人も面接すれば、質問をする側の能力を高めやすいという利点もあります。時代を超えて汎用性の高い質問をするのはオススメです。

 なかでも、私が重視していた質問の中に「志望動機」と「自己PR」があります。「なんとも普通だな」と思われるかもしれませんが、この2つの質問はブランドマーケティングの視点で眺めると、大事な示唆を見つけることができます。当時は、明確に理解できていませんでしたが、私自身が学生時代の就職活動中に、なんとなく気にしていたことでもありました。

 通常、志望動機は「なぜ、その会社を志望したのか」を語る場面ですが、「その会社のニーズを解釈するいい機会」として捉えることもできます。面接のたびに、「御社はグローバルカンパニーなので、多様な人材が活躍されています。私もそうしたプロフェッショナルになりたいと思い、御社を志望しています」といった話をよく聞きました。正直な気持ちをストレートにお話しいただくのは、素敵なことです。

 しかし、そう思うのと同時に、「志望動機を通して、会社のニーズをどのように解釈したか」という考察を示しても良さそうです。

 たとえば、「御社はグローバルカンパニーなので、多様な背景の人材が活躍されています。一方で、ローカルの消費者を代弁できるような人材も必要だろうと思い、私も役に立てそうだと考えて志望しました」と話してもいいのです。

 最初の志望動機を語った人よりも、「グローバルカンパニーであることで、その会社にどのようなニーズがありそうか」を解釈しています。このちょっとした違いは、マーケティングに向いている、という示唆かもしれません。

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